女の子のそだち方
マスクは外では、はずして良いらしい。なんて、そんなことすら己の肌感覚より、政府の方針に委ねる方が安全牌な今日この頃。それはともかく、彼方も此方も自宅でのweb会議が日常なのは、2020年に遅咲きの会社員になった私には、有難いことだ。
長いこと生活と仕事の間に境界線はなかったし、元伴侶も自営だから、子を連れ立っての仕事は、当時の"我が家"のスタンダードだった。
そんな生活がしばらく続いた後に、ふと始めた会社員。とは言え、今更スーツとかオフィスカジュアル(何それ)着るとかは到底出来ないし、私のような謎のぐちゃぐちゃ履歴書でも採ってくれる会社だから、ある程度自由度高い(と思っている)。
会社の基本勤務時間は10:00-19:00。私は、子どもの通学時間に合わせて、8:30-17:30を勤務時間とさせてもらっている。どうしても帰宅後、時間外での作業が発生することが多々ある。私の仕事での役割はクリエイティブディレクターで、プロジェクトごとに最適な外部のクリエイターさんをアサインし、一緒にお仕事をさせていただく。クリエイターさんはどちらかと言うと、向こう岸、つまり、かつての私がいた、生活と仕事との間に境界線のないライフスタイルの方も多い。なので、プロジェクトによっては週末や夜間に打ち合わせることも時々ある。放課後、子どもの歯医者の予約時間と重なった時は、歯医者の帰り道、薄暗くなる近所の道から娘と並んで歩きながらスマホでzoomを繋ぎ、娘に先に食べさせるため、晩ご飯の湯気を画面に漂わせながら打ち合わせをする、なんてこともあった。私は打ち合わせしながら、娘は宿題や時間割を完了し、21:00までに布団入りを果たすためのタイムアタックは必死だけど、味噌汁の湯気は、打ち合わせの場を和ませたりもするから、悪いことじゃない。
クライアントさんはクラシックな大企業の場合も多いけれど、自宅配信スタイルは、コロナ以降の皆のスタンダードになったので、打ち合わせ中に子どもが割り込んできたって、誰も憤慨しないし、むしろちょっとしたアイスブレイク。どちらかというと親である自分が、集中できなくてあしらう。
ある時、クライアントとのweb会議にて、「これで伝わるのか?」と、ネーミングやデザインで悩んでいる時に、娘がちょうど児童館から帰宅した。娘は、私の手元に置いてあった資料を見て、そのネーミングを読み上げ、「ああ、XXXって意味か」とすぐさま制作の意図を理解した。「どうやら小学生三年生にも伝わるから大丈夫ですね」と、その場は和み、次の話題へと進んだ。
時々、クリエイティブで煮詰まった時、娘に声を掛けて相談してみることもある。その素直な反応以外にも、斜め上をいくクリエイティブな発想が返ってくることも。
娘、小三。子育てのシーンはあっという間に移り変わるが、彼女のクリエイティビティに触れる瞬間が好きだ。