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【介護日記】認知症母との家族写真
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認知症の母と家族写真をとった。
兄たちのいない、私と母の二人だけの家族写真。
実家が差し押さえになり、多くの荷物を手放した。
手元にはわずかな写真たち。
認知症の人は昔の写真をみせると、
「あの時はこうでね」
「この人はだれだれさん」
等等、昔の記憶ならすらすらとよみがえることがあるという。
でも私の母にどんな写真を見せても
とんちんかんな答えしかかえってこない。
我が家のアルバム
私は母が認知症になったとわかってから、
母のアルバムを作り、たくさん写真をとるようになった。
どこかに外食したら、
料理やお店の写真、その時の母の表情をとる。
そしてコメント付きでアルバムに貼り、
ダイニングテーブルにいつでもひらけるように置いている。
そして、時折母とアルバムをひらいては、
「このときこんな料理をたべたね」
「おかあさんの服かわいいね」
「また行こうね」と声をかける。
それに対しても、わかったような分かってないような返事しかかえってこない。でもそれでもいい。
表情が乏しくなし、どんどん小さくなる母。
それでもきちんと記憶に、記録に残るよう、
先日プロの写真家にたのんで家族写真をとってきた。
ふたりきりの家族写真
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母は簡単な指示も理解が出来なかった。
カメラマンさんと四苦八苦しながら、
私たち親子らしい雰囲気が出るようにと、
汗だくになりながらたくさん写真をとった。
写真を撮り終わった直後には、もう写真撮影のことを忘れていた母。
それでもいい。
それでも、私は今の母をきちんと記録したかった。
撮影された写真を見て、とても自分本位ではあるが
「あぁ、お母さんだ」と涙がこぼれた。
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お母さん、あなたはいつまでも美しい人です。