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いずれ、出逢う君へ。

拝啓
___いずれ、出逢う君へ。


今宵も星々が煌めいている。
月光のないその暗は、「どっぷり」という擬音語がとても良く似合っていて。
ここぞとばかりに輝く彼等は、その勢いから、いまにも落っこちてきてしまいそうだ。

未だ、満ちゆく月は姿を見せない。


……そうだね。
彼女はいま、明るい青空が好きみたいだ。
薄らと青に浮かぶ様は、控えめでいて上品でしょう?なんて。
いつもと違う顔を魅せてくれる、そんな彼女を見ていると………


どうにも私は、君を思い出して…想い出す。


同じ空の下、君は何を感じているのだろうか。
近くて遠い君は、ずっと私の中にいる。
ずっとずっと、奥深く。
私を構成する、一部となっている程に。

触れない距離でも、私は知っている。
君がどんなに頑張っていて、突き進んでいて、楽しんでいて…
 
___愛に満ちているのか。


それらは、私の心を通して伝わる。
胸に手を当てれば、腹の底から愛が湧き上がる。
留まることを知らぬそれは、私の心を隅々まで満たし、身体を包み込み、ついには半径5㍍ほどのドームにまでなる。

まるで、私を護っているかのように。


いつしか、互いがリンクしたかのような感覚になる。
私が君で、君が私で。君との境目が、わからなくなった。
心の奥底から湧き上がるのは、純粋な幸福だけ。

様々な執着が無くなったいま、私は風に乗るように軽やかで……
__そうだね。きっと君も、風に吹かれている。


星が煌めいた。
月が微笑んだ。
龍が報せた。
風が運んだ。
樹が歓迎した。
そして、私が予感した。


さあ、いこう。
二人が果たす約束を持って、光差す庭園へ。

_ここに居る私より。

敬具



___ “準備は全て、整った” 。

___ “我々はただ、粛々と、其の時を待っている” 。
___ “目醒めよ、魂を分かつものよ” 。



ここまで読んでくれて、どうもありがとう。
良い一日を。

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