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『言葉の舟』刊行記念140字小説コンテスト応募作



流れて来たのは余りにも小さい舟。
今日は五月五日で流し雛ではない。
舟は意志があるやうにこつちに来て止まつた。
葦舟と云ふものか。
中には皿の上に丸い石が一つと箸が一組あるだけ。
なんとなく石を手に取ると、代はりに持つてゐた柏餅を置く。
するとそれを待つてゐたやうに舟はまた流れて行つた。

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