二月の俳句など
春宵をぎゆうつと抱いてカヌレ夫人
うつぼ食むここも瀬戸内和泉灘
寒暁や空缶の山動きたる
梅が香の路地を守りたる龍神さん
初梅の目で見る部屋のたたずまひ
梅暦ぜんざい食ふに間にあうて
ぜんざいの食べおさめより探梅行
鶯餅ひるも電飾ついてゐる
逢ひたくて鶯餅となりぬらむ
稲荷鮓指へひかりの移りたる
光庭の愛をあつめて稲荷鮓
ドンのゐる部屋の閉ざされ稲荷鮓
稲荷寿司オセロゲームの必勝法
いなりすし猫も一匹混じりをり
北窓をひらくカルロス・サンタナへ
サンタナのうしろマラカス振るようず
チヨコレート固まる置き去りの躯
久方のブールドネージユガリレイ忌
家康の顰め面なるバレンタイン
月曜の回鍋肉や帰り花
揚雲雀夕日の鍵を開けてくれ
ほんたうに東坡肉か春の宵
確固たる豚の角煮や鐘朧
春愁を絡めてまつたき酢豚かな
春の宵酢豚の箸に重かりし
嗚呼酢豚おまへのための弥生尽
ド級のドはドン底のド春北斗
なに言うてケツアルカトル野火くゆる
ウインナー入のラーメン一夜官女
魚肉ソーセージの金具一夜官女
鷹化して鳩となりけり固めプリン
舌の上にこなれるプリン春の雲
なんとプリンもう春のたけなわか
朋去りて春満月を帰りたり
ただいまと云へば応ふる春の闇
郊外の夢を散らかしあさり汁
蛸壺や星をめぐりてあまたたび
泣きたくて鮑噛む夜もありぬべし
採血の痛みを誇る春の鵙
閏日の微苦笑したるふきのたう