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母が私を産んだ年になった日

幼少期、母は「結婚しても、女性は仕事を手放しちゃだめよ」と繰り返し言っていた。父との結婚後、専業主婦となり、3人の子供を育てた母は、私が小学校にあがると同時にパートを始めた。

ぼんやりとした記憶で、母がハローワークに行っていたり、職業訓練に行っていたことがあったように思える。
そのぼんやりとした記憶と相反して、明確に私は、「帰ってきた時に、家にいてほしい」と言ったことを覚えている。
それがいかに難しいことなのかを、小学生の私は全く理解していなかったのである。母は3人の子供を育てながら、朝早くから、働くようになった。
私が帰ってくると、母はいつも、家にいた。

物心ついたときから、父と一緒に暮らした記憶はなかった。
離婚してもいいか、と聞かれたときは、当時小学校2年生で、
「離婚しなくても済むならその方がいいけど、してもいいと思う」という結構大人な見解を見せていた。
もはや、母子家庭になった方が、様々な手当を受けられて、生きやすくなったみたいだった。
離婚後の方が、よっぽど平和な毎日だったので、子供ながらに「変な父親ならいない方がマシなのだな」と思っていた。

私は32歳になった。
母が第3子である、私を産んだ年である。

今、私が子供を3人育てながら、朝早くから仕事にいくことを考えるとゾッとする。無理だ、壊れてしまう。
子育てしている友人をみると、1人でもそりゃあ大変そうで、可愛いけど、話の通じないモンスターぶりが垣間見えると、正直言葉を選ばずにいうと、「週1なら楽しいけど、毎日は無理」と思う。それを3人と思うと、シンプルに心を病んでしまいそうだ。すごいよ本当に。

物価が上がり、給料が上がらない、日本の現実の中で、
共働きで子供を育てることがスタンダートで。
産休育休をとるために、嫌な仕事でも転職の時期を考えなくてはならない友人も、育休をとりたいけど、上から圧力を受けている男性も、周りにいるし、本当に生きづらい世の中だなと思う。

周りの友人を見ながら、子供を育てるって、こんなに尊いことなのに、
なんでもっと会社がサポートしてあげられないんだろうと思うのだが、
最近は、結局、時代が一巡しないと難しいのかな、と思ったりする。

今、大企業の役職者は、ほぼ男性だし、その男性は、専業主婦でも生きていけた両親の価値観で育っていて、役職のある女性は、圧倒的に4R( HR、PR、IR、CR)に職種制限されている現実があるように思う。
「女性だから上がれた」という謎のフィルターを掛けられている人も何度も見たし、「あの人は子供がいないから違う」と言われているのも見た。

意外と女性の敵はライフプランの違う女性だったりするし、本当に生きづらすぎる。立場が違っても、想像力をもって、優しいきもちで生きていきたいね。

でも、共働きスタンダートの人たちが権力を持ち始めると、また話は変わってくるのかなと思う、希望的観測ではあるが、時代が一巡するのを待つしかないのかなと。
私の中でも凝り固まっている「女性とは」みたいな押し付けられてきて当たり前になった価値観が、今、私を苦しめていて、
過去のセクハラパワハラ、あらゆるハラスメント経験を思い出し、「あのとき、本当は悔しかったな」という思い出しフェミニズムにやられて眠れない日もあるけど。

終身雇用が崩壊し、リスキリングのフォローも増え、インターネットで勉強もでき、なんでも調べれば出てくる、この時代に生まれ、働けていることに感謝しているし、
母が私と同い年のときに3人も子育てしていたことを思うと、なんだかもっと働けそうな気すらしてくるのであった。


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