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女は好きな男にだけ、母乳が出るようにできている
母性。それは世界最強の感情だと思う。
好きな男性にだけ、やたら甘くなってしまうのって、何でなんだろう。
その答えは母性にあると思うのだ。
私はハタチのとき好きだった男性が
158センチの薄毛のゼミの先輩だったのだが、
好きすぎて、髪の毛が薄いことすら、
「つむじ可愛いー!」と思っていた。
あれはつむじではなく、禿げている、と
ゼミの同期に言われた時も
「ん???何言ってるのかな?教えてマイメロディ?」
という感じだった。
あばたもえくぼ、とはよくいったものだ。
薄毛もつむじ。
つまり、恋する女は無敵だ。最強だ。
好きだったつむじの彼は2年間片思いして、
かなり追いかけ回していた。
そんな彼とお付き合いが始まった♡と思いきや、決定的に振られてしまった私は、引くほど凹み、HYばかり聴いていた。
(あれをお付き合いとカウントして良いのか非常に怪しい。今度書こう〜)
そのあとすぐにバイト先の社員と付き合うことになるのだが、そこからがまた、悲惨で。
彼は私と出会った時は正社員だったのだが、
色々会って辞めてしまい、フリーターになった。
半同棲みたいな形で、彼が深夜3時に帰ってきても、私はご飯を作った。温かいものを食べて欲しくて。
私は朝5時起きでバイトに行き、大学に行き、就活をするというわけのわからない世界線で生きていた。
いよいよこれはヤバイと思った私は、
リクナビNEXTに登録し、彼を正社員として就職させた。もはや過保護を通り越して、エージェントだ。
私は恋愛が向いていない、と思うのはこういう経験からだった。
好きな人ができると、他のことが全く手につかなくなる。
なんでもしてあげたくなる。
靴下を、履かせてあげたくなる。
でも、そんな自分が好きじゃないのも確かで。
社会人になってからは、ずっと、反対にドライな恋愛を繰り返していた。
仕事が1番で、面倒になったら関係を切ればいいと思っていた。
コンペが重なり、三徹していた私が連絡をおろそかにしていると、
「仕事と俺、どっちが大事なの?」と彼氏に聞かれたこともある。
リアルにそんな言葉を言うやつがいるとは思わなかったが、そこまで言わせるほど、私はドライな対応だったのだと思う。
昨年の9月。
合コンで会った男の人に7年振りに恋に落ちたときも、母性がすごかった。
彼はメーカーでイヤホンを開発していた人なので、
私の友人界隈では「イヤホン」と呼ばれている。
「俺、人の耳見たら、どんなイヤホンが合うか分かるんだよね」
合コンでそう言った彼は、自分が持っている高級なイヤホンをみんなに見せてドヤっていた。
女性陣は全員ひいていた。
構わず、彼はイヤホンについて熱く語っていた。
「え、この人やばいじゃん!好きかも!?」
私はその瞬間、どうしようもなく空気が読めない彼に、
母性を爆発させたのである。
イケメンであるとか、紳士的であるとか、かっこいい、という感情より、
「可愛い」という感情の方が強度がある。
普通ならマイナス部分でも、可愛く見えるというのは、女性が男性に向ける感情の最上級であるように感じる。
その男とのドロドロ話は、また今度書くとして。
20後半になってからなおのこと、
母性が溢れて止まらなくなった。
子供が欲しいと明確に思うようになったのもその頃からだった。
この間失恋した彼と電話している時、
「私、最近母性あふれて止まらないんだよね。
そろそろ乳出るわ」
という話をした。
この話は結構色んな人に言ったことがあるのだが、
みんなゲラゲラ笑うだけだった。
だけど、彼は、笑ったあと、こう言ったのだ。
「へー、出たら試しに飲ましてな。
俺、飲んだことないからさ」
私は本当にびっくりして、腹を抱えて笑ってしまった。
「飲んだことはないは嘘でしょ〜!記憶無いだけだよ!」
そう笑いながら言うと彼は、
「おかんに、母乳派かミルク派だったか聞いとくわ」
と言った。
その瞬間、私は
「絶対この人だわ」
と確信したのである(本気)
私はいつも、こういう風に恋に落ちてしまう。
一言の言い回しや、一瞬の行動で、
「この人だわ」と確信することから始まるのである。
だから常に明確に恋の始まりが存在している。
今まで気になっていた、
遅刻してきたこと、
店を予約しないこと、
ボディタッチが多いこと、
全部全部、ぱーん、と音を立てて消え去った。
母性とは、許すということだと思う。
そして、全てを受け入れるということだと思う。
はやく、母性くすぐられる人、できるといいなあと思いながら、今日もマッチングアプリを開く。
いよいよ私の使用しているアプリwithは850いいね!を突破したのだが、それでも彼氏ができていないって、
私がやばい人である可能性が浮上してきている。
最近会う人に
「沢山、いいねもらってますよね、大変じゃないですか?」
という、なんの探りなのか分からない言葉をかけられるのだ。
「この女こんなに貰ってて、まだアプリやってるってヤバいやつかマルチなんじゃないか?」
と思われているのではないだろうか。
そう思うと本当に辛いのだが、
「おかんに、母乳派かミルク派だったか聞いとくわ」
以上の、衝撃の返しをしてくれる人と、出会いたい。
そして、私の「好きになるタイミング」は、
結局会ってみないと分からないという、宝探しゲーム(クソゲー)だ。
運命の相手と出会いうまで私の母性は、
我が家のルンバにのみ、向けられることとなる。
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