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ワグラムの戦い(著:ジル・ラプージュ)【読書感想文はまだ、向こう側にいるはず。だから】
またどこかで書いたのかもしれないけど、
書いて無いかもしれないので、
書評を書いてみる。
ダブってたらごめんね。
ダブルに謝っておきたい。
ワグラムの戦いとは、
ナポレオン戦争中の戦いのひとつである。
がしかし、本作は軍記物ではなく、
恋愛小説だった。
ザクセンというドイツの小さな王国。
この国に、兄弟連隊というものがあり、
兄の部隊と、弟の部隊には、
それぞれ同じ町の家族、親子、兄弟で分かれて入隊していたものが多かった。
通常、兄弟連隊は常にザクセン王国の軍隊として戦っていたので、
常に味方同士だった。
しかしナポレオン戦争の最中、
片方の部隊がオーストリアに貸し出されて帰ってこない。
そしてもう片方はナポレオンに屈してフランス軍の一部として戦う。
つまり兄弟同士で合い撃つ展開となったのだった。
そういう歴史エピソードがあるんだけど、
その中でとある兵士とマダムとの恋愛が主軸となる。
身分の低い男と、高い貴婦人。
古典文学に寄せた作風なので、
どうでもいい、余分な部分がすごく長い。
トルストイとか、あの時代のスタイルだ。
だがまあ、そういう余白が、
これ系の読者には美味しいので。これはこれで良きかな。
というか狙って書いてある。
で、ふたりは悲恋なんだ。
まあ不倫みたいな感じなので。
しかし例の「ワグラムの戦い」に男が出征すると、
マダムは居ても経ってもいられず、
戦地に向かってしまう。
そういうのを遠くから観戦している解説役の貴族が、
戦況を観衆に説明している中で、
同時並行で描いていくんだ。
↑ この人だったような気が・・・
情景がすごい。
ビビッドで、文章なのにはっきりと頭の中にイメージが浮かぶ。
古典に寄せた作風は大成功だ。
こういうのは文章のペースに読者を慣れさせないと難しい。
冒頭から、古典ペースに読者を慣らして、
飼いならされた読者しかイメージの世界にたどり着けない。
なかなかビビッドな作品だった。
こういうのは、若い時しか買わない。
効率厨には耐えられないと思うのだ。
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