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オーブランの少女(著:深緑野分)【あれはね。おばあちゃんがまだ双子姫だったころの読書紹介なのよ「ふ、双子姫!?」】
ミステリ短編集。
単行本の表紙には、
神戸のお嬢様学校の制服を着た女の子。
中学生くらい。
さて、この先生は、
日本人なのにヨーロッパを舞台にしたミステリ小説を平気で書いてしまう人です。
主人公はアメリカ兵で、
第2次大戦で欧州に出征。
フランスやドイツを転戦しながら、
主に料理の話とかで盛りつつ、
バンドオブブラザーズな展開で戦争の日常を描き、
と見せかけて実はミステリだという。
まあ結論としてミステリなんです。
この作品は読んでないので深くは語りませんが、
要するにミステリと畑違いの話をしているようでいて、
ミステリにつなげるという手法を、
得意としておられるミステリ作家。
(いいのかな?これで)
日本の作家なのに、
日本がまったく出てこない作品を描けるという博識ぶりも。
さて。
短編なので、そこまで深い仕掛けは仕掛けられないですけど、
あれやこれや引っ掻き回すテクニックは、
本作でも健在です。
神戸の女学校の制服、
戦時中っぽい、
若いころを思い出す老婆、
若いころの彼女(学生)
孤立した学校、
花の名前で呼ばれる生徒たち、
花が咲いている庭園、
謎、
出られない、
むー、ホラー感さえ出てくる。
しかしこれ、なぜ神戸の女学院の制服を出すんだよ。
完全に〇〇〇〇〇〇〇!
他の作品もあります。短編集ですから。
ホームズ時代のロンドン。
パスタ定食屋のトマトサラダの話。
大正から昭和初期の、
独自の文化を持っていた女学生たちの話。
架空の帝国の皇女の話。
女学生の話と、氷の帝国の話は盛り上がりました。
二転三転四点御殿。
こんなに短い話で、よくこんなひっくり返せるな。
ロンドンとトマトサラダの話は、
まあショートショートっていう感じですね。
ショートではないけど。
↑ いろんな表紙のバリエーションがあります。
私が持ってるのはこれ。
この先生の方向性が、これで少し分かるかもしれません。
野分ってちなみに、台風のことです。
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