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紅塵(著:田中芳樹)【はいはい。老いては子に従えというからねえ。おとなしく読書紹介でも、あ、敵だ!うりぃいいいいいい!「は、ははうえ~」】

田中芳樹の中国歴史小説。
今作は、南宋と金の宿命の戦い、第2次南北朝時代が舞台です。

もうね。
銀英伝の元ネタって、この時代なんだなってわかった。

北朝と南朝が、半永久的な戦争を続けている時代。
たまたま、しばらく休戦状態だったけど、
北に暴君が現れ、再び戦乱の時代が戻ってくる。

宿命的な戦争を続ける二つの大国。
いやあ。まったくまったく。

まあ、ともかくともあれ。
主人公は歴史の表舞台にギリ顔が出てこないレベルの人。


母は有名人で、女武将なんだけど、
父も名将として有名なんだけど、
息子さんは、そんな人いたの? いや、そりゃいるだろ。
くらいの人。

両大国はちょうど長江の少し北辺りに軍事境界線を敷いてる。

そこからこっそり北に密航し、敵情を探るのだ。
そう無論、主人公は宋の人である。

まあ女将軍たる母もくっついてくるけど。
(お騒がせ系女戦士なんだよな。母君は)

密偵の意味をなしてなくね?

そして絡み合うように、
宋と金が最も激しい戦いをしていたころ、
父と母の若いころの戦いの話も出てくる。

金の元帥、完顔(ワンヤン)ウジュ。

不世出の名将、金の皇族、もう片方の主人公レベルの将帥、
をあと一歩のところまで追いつめるも、
何度も取り逃がしてしまう。定番である。

そんな名将の子息たちも、暴君である新皇帝によって族滅されてしまう。

そんな金の舞台裏を覗き見しながら、
ようやく暴君との頂上決戦がやってくる。

まあ主人公は、観察者の役回りだ。
銀英伝で言えば、ユリアンくらいである。
歴史に知られざる人物だ。

まあ歴史絵巻を語るには、このぐらいの目線が丁度いいのかもしれない。
火中の人は、逆に客観的な視点を語れないから、
歴史絵巻には向かないのかもしれない。
ワトソンが必要だ。

そんな本作は、まあ中国史をマジメに勉強するよりは、
はるかに面白くてタメになる。ぐらいは言いたい。

この後、またしばらく平穏な時代が続くが、
次はモンゴル帝国がやってくるのだ。ああ。





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