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弁護士のくず(著:井浦秀夫)【マンガ感想は刑法には書いてねえ。当然だろ。嘘を書いたっていいんだぜ。てへっ】

これも「大人」の黒さ、カッコよさを描いた作品。
パッとみ、そうは見えないかもしれないが。

ちなみにドラマ化もされたが、
本編は基本的に原作であるマンガ版を紹介したい。
ただし、私が読んだのは最初の4巻だけ。
だが、以前に紹介したギャラリーフェイクと同じように、
一話完結スタイルなので、途中から買っても不満はないはず。

ビートたけし顔のちょい悪おやじ弁護士。その名も九頭。
だから「弁護士のくず」なわけだが
態度不良で、弁護士として大丈夫なのかこいつ?と思わせるスタイルだが、
実は熱い心をもった正義の味方。
いわば偽悪的なスタンスのヒーロー。そういうスタイルだ。
(こういうのをダークヒーローって言うんだよな)

そもそも熱っぽく正義を語っても、今時、いかがわしさしか感じない。

それに、弁護士なんて依頼されれば悪の弁護だってせにゃならん。
誰にだって、弁護士をつけてもらう権利はあるし、
なんだったら国選もやらないといけん。

それに社会態度は極めて不良だが、この主人公、
腕は確かだ。
死刑判決をひっくり返したというのだから、弁護士として腕は確実にいい。

法律は正義じゃない。
法律は公正なだけだ。だから使い方が大事だ。
使い方を熟知している人間、いわば悪の使い方も熟知している人間。
そういったやつがアツイ心と、冷徹な計算力で仕事をしたときに、いい仕事は完成する。

口先だけの正義の味方は頼りない。
だが、悪を知っている正義の味方は、戦力として頼りになる。
きれいごとを信じるのではなく、現実で勝つ計算ができる大人だから。
本当はそういう大人こそが本物のヒーローなんだ。

つまりギャラリーフェイクの回で述べたような、
圧倒的「大人」の話、その類型にこの作品も含まれるわけです。

ただ、コミカルに振ってあるポイントが多いかもしれないけど。

あと、この漫画は、リアルに弁護士から著作権侵害で告訴されましたが、
結論として、逆転勝訴しました。(やったぜ!)

まあ、最初の方しか読んでないけど、外れは無いと思う。
カテゴリはブラックコメディらしい。
物語論を語るうえで、
いずれ悪の魅力について語らないわけにはいかないのですが、
本作ではそこまでは言えないかな。
やっぱりダークでも、ヒーローは、ヒーローなんで。

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