モンスター(著:浦沢直樹)【僕を見て。僕を見て。マンガ感想がこんなに収集がつかなくなったよ。なのでもう】
時は90年代。
ドイツで活躍する日本の天才脳外科医。
テンマ博士は順調に出世街道を驀進していた。
日本の医局になじめず、海外に飛び出したときはどうなるかと思ったが、
なぜかドイツの大学病院で才能を認められ、
院長から「うちの切り札」として重用される。
そして院長の娘とも婚約。
順風満帆なんだけど、この院長は、
貧しい人の命より、金持ちの有力者の手術を優先させるよう指示を出す。
実直なテンマはそれを拒否した。
「命は平等なんだっ」
だが、その結果、彼は寵愛を失った。
待て、だがしかし、
その時に助けた、貧しい貧乏人。
いや、謎の少年。
それが、悪魔だった。
その少年は、まだ少年でしかないのに、
天才的な連続殺人鬼として完成されていたのだ。
助けてくれた恩返しとばかり、瞬く間に院長たちを薬殺。
そして行方不明になる。
次期院長によって出世ラインに復帰するテンマだが、
何か、後味の悪さが残った。
そして、
成長した少年もとい青年が、
彼の元を訪れて真相を話してくれる。
楽し気に、涼やかに。軽やかに。
それどころか、同じ手口の薬殺犯の容疑者として、
テンマが逮捕されてしまう。
しかし、こんな話を信じてくれる警察ではない。
いくらなんでも、突拍子すぎる。
こうなったら、自分で探すしかない。
あの時、良かれと思って、悪魔を助けてしまった。
そのツケは、自分でどうにかする。
後は、浦沢マンガ定番の展開。
その少年のルーツは、滅亡したはずの東ドイツにあるのだ。
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浦沢先生が描くマンガのスタイルは、
数種類あり、
「やわら」とか「はっぴー」みたいなコミカルスポーツもの。
そして、この「モンスター」や「20世紀少年」「ビリーバット」みたいな、ホラーミステリもの。
と大きく分けて、二種類の作風を持つ人だ。
もちろんこれ以外の作風もある。「マスターキートン」とか。
しかしこの人が大御所になったのは、
ホラーミステリ風の作風が強いんだと思う。
その最初となったのが、この「モンスター」シリーズ。
そうだ。闇の最果てを目指すための旅が、
引き延ばす、引き延ばす、人気がある限り引き延ばすエンタメの基本。
いや、引き延ばされてるのは分かるけど、
謎が知りたい、先が読みたいという誘惑が強すぎて抗えず、
ついつい買い込んでしまう。
うーん、いい商売してるよね。
アメリカのテレビドラマみたい。
まあ、ほどほどのところで終わってくれるけど。
次のミステリーを始めるからね。
そんな感じで、完璧なまでのエンタメ性を持つ本作は、
読んだ誰もを依存症患者にしてしまう。
これまで読んだマンガの中で、依存性が最も高いやつ。
これは読むドラッグだ!
↓ アニメ化もされてる。
ついでながら、なんか実録取材記録みたいな小説もあった。
(小説とはどこにも書いてないけど)
そう、モンスター事件のその後を追いかける雑誌記者が、
不気味な事件に遭遇する話。
手記はここで途絶えているってやつだ。
いくらでも続けられるんだろうけど、
まあドイツ編はここまで。
次は日本編かな。
こんな読むドラッグを紹介しちゃって、大丈夫なのかな。
あ、そうそう。
「名前のない怪物」って、
某アニメの主題歌名だけど、元ネタはたぶん、この作品なんだよ。
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