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遥かなる戦場(1968年)【いったいどこで映画紹介するんだ「あそこです。あの敵の陣地ですっ」なにーっ!(正気か?)】

19世紀中ごろ。
クリミア戦争はイギリス・フランスとロシア帝国との戦い。
バラクラヴァの戦い。
知っている人は知っている。

***

19世紀のイギリス。
それは産業革命たけなわ。貧富の格差の激しい時代であった。
貴族階級は庶民とは別次元の生活をしている。
軍隊においても、指揮官階級と兵士たちは、もはや別の生物。
尊大な将軍たち。
特に第11軽騎兵連隊、指揮官のカーディガン公爵は、
はっきりと暴君として描写されている。

パワハラモラハラセクハラ、何でもありのブラック連隊である。
(女性兵士なんてのはいないので、不幸中の幸い)
ノーラン大尉は、優秀であると自ら自負している将校であるために、
このようなブラック社会と激しく対立。

としつつもしっかりとご婦人と不倫もするノーラン大尉。

折しも風雲急を告げ、イギリスはロシアに遠征軍を送る。
戦場はクリミア。

そのような背景を描きながら、
ノーラン大尉は、総司令官のラグラン元帥に、扱いの不当さを訴える。
返ってきたのは玉虫色の解決だ。
そんなことより司令部は戦争の準備に忙しいのだ。

騎兵軍司令のルーカン卿とカーディガンが、でたらめに仲が悪い。
しょっちゅう罵り合いをしており、
視聴者に明白な不安を与えつつ。

最初の戦いでは、騎兵隊の出番はなかった。
歩兵が大きな犠牲を出し、憤るノーラン。

次の戦いでは、ロシア軍が先手を取り、英軍の大砲を奪ってしまう。
取り返すよう騎兵隊に命令が出るのだが・・・

***

バラクラヴァの戦い。
知っている人は知っている。

イギリス特攻精神の発露の結果、軽騎兵隊が砲兵に向かって突進してしまう。
もはや砲撃の的にしかならない。
案の定、壊滅して責任問題になったところ。

テニスンという詩人がバラクラヴァの詩を書いた。
これがバズった。

そんで一躍、時のニュースになって褒めたたえられた。
愛国とはこれ。勇壮とはかくありき。

100年ほど経ってから、
やっぱりこれ大失敗じゃねーか。
という事実に誰もが気がつく。

ま。そういう歴オタエピソードなんだけど。

まあ、それの映画化です。
エピソードを知っていれば、その通りにしかならないのだけど。
知らなくてもまったくダイジョウブ。
むしろ知らない方が楽しめるでしょう。

歴オタの果てに、ネタバレされている人たちも楽しめますが。
知らない人はもっと楽しめる。

基本は戦争映画だけど、
どちらかというと社会批判の向きかな。

当時の風刺画をアニメ化したシーンがたくさん挿入されていて、
これが興味深い。なんだこれふぁ。

↑ この時点でのセバストポリ陥落は誤報です。

そしてラストのオチは視聴者を絶望の淵に叩き落すで賞。
こういう類型の映画はたまにあるけど。
最後の終わり方は、特に気力を無くす描き方で締めている。
このブツギリ感。すごい皮肉。英国魂だ。


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