愚行録(著・筒井徳郎)【読書紹介を食べていたら、旨すぎて気持ちが悪くなった】
グロエロ救いようがない系ミステリ。
ミステリは、謎が解ければそれが良い。
というあまりに、普通の物語だったら、
およそ受け入れ難い反ハッピーエンド主義を取ることが多く、
なので、こういう「誰得?」みたいなお話が、たくさんある。
まあ、ミステリだし。
救われない話とは言え、
謎が解ける快感さえあればいい!
という人には、きっちり満足してもらえる謎解きがあるし。
そう、パラレルに進んでいく物語に、
最後にすべて辻褄が合う。
という瞬間があるのだ!
****
ある母子が惨殺された事件があった。
その謎を追いかける事件記者。
彼は、事件の外堀を埋めていく。
↑ 映画化されとる!
もう片方の物語は、
とある日記。
虐待を受けていた女性が、
自由になっても、なお世間からの悪意に苦しまされる。
彼女は美しくて、それでいて、歪められた常識の持ち主だったから。
どうしても、何をやっても、うまくいかない。
****
そのふたつの物語が、
パラレルに流れていく中で、
読者は事件の真相におのずと気付かされていく。
うん、探偵役は読者だ。
そしてどんなに鈍くても、これは気づかざるを得ないスタイル。
謎解きは、カタルシスがきちんと感じられるので、悪くない。
ただ気持ちがダウナーになるので、
そういうのが苦手だという方には、無理してお薦めしない。
ミステリは、そういうのが多いんだ。
物語は元来、アップテンポで終わる方がいい。
けど、ミステリは例外だ。
だからまあ、読後感が悪いこと。
でも名作ではあると思う。
救いようがない話は、社会性のあるメッセージ系作品では、
よく使われる手法だしね。
そういうカテゴリだ。
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