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アリゾナドリーム(1992年:監督:エミール・クストリッツァ)【もしもういちど映画紹介とか言ったら、テーブルをちゃぶ台返しする(と宣言した彼女は一日中、草原を掘り返していた。今日はピクニックだ)】

ジョニー・デップ主演。
エミール・クストリッツァ監督。
どこかの賞を取ったらしいハリウッド芸術映画。

ジョニデ推しの母のコレクションだったので、
ジョニデ効果で我が家に来たのだが、
はっきり言って、

ひどい。

いや、これを面白いという人がいるのだろうか?
それともクストリッツァ風の演出に食傷しすぎたのだろうか?
その可能性はある。
クストリッツァ作品はスキだったし、
どうにも自分の文章にもああいうシニカルなコメディみたいなのが、反映されているようなきらいは、なんとなく自己嫌悪できる。
自家中毒だ。近親相姦だ。

とにかくコメディックで、ドタバタで、悲劇なんである。
なんというか、もう。
昔の作品だからか、ドタバタが「もう、いい加減にしてくれよ」という気分にさせる。いや、当時は斬新に思えたのかもしれない。やはり自家中毒だな。

目が肥えたというより、このノリがちょうど嫌な感じの古さだ。
70年代くらいの古さだと一周まわって未来的に感じるけど、
90年代は古さにちょうどうんざりするくらいの過去だ。

私じゃなければ、なんともないのかもしれない。

****

作品は、
まずアラスカでオヒョウという、ヒラメみたいな魚を釣っているイヌイットの家族から始まる。
しかしそこは触りだけで、
ニューヨークでニートっぽい生活を営んでいるジョニデと、それのいとこ。

そしてアリゾナで自動車販売業を営むジョニデの叔父。
古くさいキャデラックを売り続けた彼は日本車の攻勢にたじたじなのだが、マッチョなので敗北を認めない。
これをレーガンの役者仲間だったジェリールイスがやってる。知らねえ。
(バックトゥザフューチャーで一瞬だけ名前が出てきたような)

彼は家長として、ジョニデを更生させるべく、自分の店の跡取りにすることを考える。
ジョニデはまったくその気じゃないのだが。もはやメリケン昭和。
マッチョな彼は娘くらいの若いポーランド娘と結婚したりしている。

一方で、車を買いに来たのは大金持ちの未亡人とその娘。
両者はすこぶる仲が悪いのだが一緒に住むしかない。
金持ちなんだから別居すればいいのに、というのはムリみたいなこの世の地獄みたいな母娘である。血縁は無い。母は父と再婚した女であり、父の死後は若い男を次から次へとついばんでいる。娘は嫌いながらも離れて生きることはできない。
ジョニデもツバメ男のひとりとなる。
母のために飛行機を作ろうとするジョニデ。

「北北西に進路を取れ」のモノマネをして映画スターになろうとする無謀ないとこ。

そしてすぐ自殺してやると叫ぶメンヘラ娘。

そんなこんなで、結局は悲劇的な結末に向かうこのコメディは、
当初は「アメリカンドリーム」という内容だったらしい。
皮肉だ。
いや、そういうテーマなんだ。
つまりアメリカンドリームは死んだ。と言いたいのだ。

さあ、少しネタバレ。

そして最後に叔父とジョニデが、
イヌイットの親子に成り代わり、オヒョウを釣る。
ジョニデ「なんでオヒョウは顔が歪んでいるんだ?」
叔父「それはな。苦痛を感じるからだ」
オヒョウはなぜか、空を飛んで行ってしまう。
ここら辺はファンタジー、心象世界だ。

つまり。
若い時は、色んなものが視えるけど、
歳を取るにつれて、片方側しか視えなくなってしまう。
だから夢はいつも苦い。

なんとなく、そんなことが言いたいのかな?
と思った。いやしかし、母はこの映画を観たことないぞ。
コレクションしただけだ。と思ってる。

まあ、しかしだ。
絶望の底で頭をねじって希望を見つけてみたい人には、
クストリッツァ作品は、多少はイケるのかもしれない。
だがまあ、「アンダーグラウンド」とかの方が良いだろう。
なので次はそいつを紹介してみる。
「アンダーグラウンド」は、私が人生で観た映画の中で、最高傑作のひとつだ。

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