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国民の創生「バースオブネイション(ナットターナーの乱)」(2016年:監督:ネイト・パーカー)【もう我慢の限界だ。別の映画感想でまったく別の映画だと勘違いさせるっ!】
映画の歴史において初期の名作と言われる。
「国民の創生」
無声映画です。
しかしながら、この映画の内容は、
滅ぼされた南部の大義 を映画にしたもの。
さらには、
白人至上主義団体、ク・クラックス・クランの宣伝映画という、
現代の価値観から見てそぐわぬものとなってしまっています。
でも、この映画が歴史的な価値を持つことは否定しがたく、
その評価を巡っては常に意見の対立が発生していました。
「禁止しろよ」
「いやそれは表現の自由の弾圧だから」
「ならば、禁じることができないならば、上書きしてやろう」
と誰かが考えたのか、
黒人版の「国民の創生」を考えた。
アフリカ系アメリカ人にとっての神話を描く作品を制作することに。
さて黒人系アフリカ人にとって民族の神話となるのはなんだろう?
それが、
ナット・ターナーの乱 です。
平たくいうと黒人奴隷の反乱、武力蜂起です。
これは白人支配者にとっては長らく悪夢のような記憶であり、
歴史的には常に否定的に記述されてきたのでした。
これだ!
↑ 作品名はこれなんだけど、完全に昔のやつと被っているんだよね。
*****
主人公が反乱に立ち上がる理由。
そしてあと一歩のところで挫折する場面。
まあ、きちんとした歴史映画です。
南北戦争前の西部以外のアメリカという舞台が貴重なので、
資料としても面白い。
21世紀の作品なので、品質にも問題ありません。
この時代、ほんとに絵柄が分からない。
普通の歴史映画として楽しめます。
逆にいうと、尖がってないのが最大の弱点かもしれない。
アメリカ国民以外にはそこまで訴えてくるものがないです。
シナリオもハリウッドテンプレですし。
ハリウッドテンプレでやることに価値があるんでしょうね。これは。
旧作「国民の創生」を上書きすることが目標ですから。
また監督兼主演俳優の方が、
性暴力の件で訴えられてしまったりしたせいで、
その後の活躍が無いというのも、
この作品の知名度が少ない理由かもしれません。
スパイクリーみたいにはっちゃけてたら、その過去の監督作品も有名になっていたかもしれませんが、そういうムーブに至らなかったわけです。惜しい。
それにしても相手の主張を黙らせるのではなく、
上書きするというのが、民主主義にあったやり方だと思うので、
こういうスタンスの作品はもっと増えてほしいと思っています。
主張よりも作品の質で黙らせてやろうという。
そういうのが好きです。
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