生物はウイルスが進化させた(著:武村政春:ブルーブックス)【読書紹介する人類の先祖は猿ではなくウイルスなのです。ウイルスがご先祖様でも恥ずかしくないのよ。むしろそっちの方が偉いんだから】
唐突ですが、人類はウイルスがいなかったら存在しなかったというのを、ご存じですか?
人類がというより、哺乳類が、ですけど。
哺乳類の最大の特徴である胎生。
実は胎盤というのは、ウイルス由来の遺伝子がないと作れないのです。
まあ、そのウイルスはウイルスというより、哺乳類の肉体の一部になってしまっていますが。
ウイルスには、細胞を悪魔合体させる遺伝子があります。
センダイウイルス(日本の仙台で発見された)を使って、ヒーラ細胞(子宮がんで亡くなられた黒人女性由来のがん細胞)とかを悪魔合体させることによって、モノクローナル抗体とかいう薬の大量生産が可能になった。
・・・という話が60年代にありました。
ここで重要なのは、ウイルスは感染細胞をどんどん悪魔合体していく能力があるということです。
それで胎盤というのは、あれは巨大なひとつの細胞なのです。
(追記:読者の方から指摘を受けました。胎盤という臓器そのものはひとつの細胞ではないとのこと。正確には胎盤の中の合胞体細胞膜が単一の細胞となっています。これがないと血液胎盤関門が成立しません)
脊椎動物にはそんなものを作る能力は逆さまにしてもないので、
自分に寄生していたウイルスを逆用して作るようになったらしいのです。
コロナの時代の人類である私たちにとって、ウイルスと言えば恐ろしき侵略者というイメージしかありませんが。
自分に寄生してきた生物と機能融合して、新しい生物に進化する。
というのは、アリとアリ植物の関係じゃなくても自然界にはたくさんあります。
というかそちらの方が多いくらい。
植物もあれは全部、二次植物ですからね。
クラゲとかサンゴとかも、植物細胞を取り込んで光合成しているから、定義としては二次植物です。なぜか植物とは言わないですが。
なんか、話がウイルス本の紹介からずれてきたので、本筋に戻します。
*****(本筋に戻った後)
この本は巨大ウイルスの話からはじまります。
まずは巨大ウイルスの紹介から。
ウイルスとはまず小さいという定義がありますが、巨大ウイルスは小さめの細菌よりも巨大で遺伝子もたくさん持っていることから、巨大ウイルスと呼ばれます。
世界で最初に発見された巨大ウイルスであるミミウイルスでありますが、フランスの貯水タンクで発見されたとの報告にあるように、これまでウイルスとは思われず細菌と分類されてきただけで、実はそこら辺にたくさんいるやつなのでした。
もっぱら寄生する相手も原生生物というかアメーバです。
著者の先生はご自身でトーキョーウイルスなどと名付けた巨大ウイルスの発見者でもあります。
話は進み、ウイルスは規制すると宿主の細胞内で核のような構造を作り、これをウイルス工場と呼ぶらしいですが、宿主の核を端っこに押しやって、自分たちの核を中心とします。
*****
さて、著者の先生は、もしかしたらこうしたウイルスが持ち込んだ核膜構造が、真核生物の核の起源なんじゃないか、とまで推測します。
あれ。なんかまた元の脱線した方向に戻ってきました。
とりあえず「変な生き物」ばりに、変なウイルスが次から次へと紹介されるので、それだけでも面白い本です。
ウイルスは極小の存在であり、現時点でも厳密には生物ですらないと定義されています。
私はこの定義はいくらなんでも時代錯誤だと思います。
通常の生物とは異なりますが、どう見ても生物です。
ただ通常生物と違い、ウイルスは共通先祖が今のところ発見されていません。これじゃないか的な仮説はあれど、正式に認められているわけではありません。もどかしいですね。
この分野でもっと目新しい発見がされるのが待ち遠しいですね。
早く人間になりたい!(ウイルス目線)
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