『パストライブス』の話。
全体を通して「もしもあの時…」という会話や考え方が多い気がしたせいか、前世や来世に思いを馳せるより、今居る場所に目を向けて、今ここに居る誰かをうんと大事にしたくなった。
両親の都合でまだ幼い頃に韓国からアメリカに渡った彼女にとって、彼の存在は「初恋」であり「故郷」だったのかもしれない。
きっともう戻ることはないけれど、度々思い出しては引き戻されそうになる。
恋しくなって、つい前世だったら、来世だったら、と考えを巡らす。
そう解釈すれば、最後の涙も理解できる気がする。
でも、あの夫のように、初恋の人を涙ながらに見送った彼女を何も言わずに抱き留められる器は、誰もが持っているものでもないような。