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理解できない読書もしたい
津村記久子さんの『やりなおし世界文学』を購入した。
世界文学に興味はあるものの、有名な作品だと言われれば言われるほど、手を出したくない気持ちが燃え上がってしまう、とってもメンドクサイあまのじゃくな私は、こういった文学案内本に手を出す頻度が高い。あらすじだけは知っておきたいという、邪な思いが胸にあるもので。
案内本に手を出しても、かんじんの小説のほうには、いっさい手を出さない。得た知識だけで満足しているからね。残念な人だよ、まったく。
しかし今回、津村さんの語り口が私に合っていたのか、『やりなおし世界文学』に登場する本たちが非常に魅力的でたまらない。
まずは自分が既読の本が紹介されているページから読み始めたのだけど、津村さんの文章に刺激されて、既読の本をまた再読したい気持ちがビュンビュン高まってしまった。やはり文章のプロは読ませかたが上手い。
いま一番気になっているのは、まだ読んだことが無い、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』。
前々から読んでみたいと思っていた作品なのだけど、あらすじを読んでも内容がよく分からなくて手を出せずにいる。しかし今回、津村さんの紹介文を読んで、やはり内容はよく分からないのだけど、その分からなさに惹かれてしまった。
本読んだ人ならば、その本について説明することは可能だろうというのは大きな間違いで、説明しようにも難しいと思われる本は世の中にたくさんある(と私は勝手に思っている。理解できないのは私だけの可能性もまた大きい)。この『灯台へ』はまさにそういった説明の難しい本のようであり、でもその説明するのは難しいという部分に、どんな物語があるのかが気になるのだった。
長い年月、ひたすらに読み継がれてきた作品には、一体どんなドラマがあるのか、私はそれが知りたい。けれど、きっと当該本を読んでも、そのドラマに気付くことは出来なさそうではある。なんせ私は情緒が分からない無粋な人だし。
そういったゴチャゴチャとした心情はともかく、この『灯台へ』は何としてでも読んでみたい。最後まで読める力が私にあれば良いな。