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2022年1月26日「仮想敵にさよなら」

一度に読むのがもったいなくて、ちまちまと読み進めている塩谷舞さんの『ここじゃない世界に行きたかった』

塩谷さんが会社員のころの話があった。
朝方まで仕事をし、少しばかりの仮眠を取ってすぐに出勤していたらしい。
その頃の自分について、塩谷さんはこんな風に書いていた。

心が戦闘モードなので、仮想敵も増えていく。たとえば、アパレル店員、美容師、百貨店で働く美容部員──。美しさを生業にしている人の前に立つと、寝不足で疲れ果て、髪も肌も服もみすぼらしい自分が否定されているようで、惨めだった。いま思えば、勝手に試合のゴングを鳴らし、勝手にボコボコに負けているのだから、その滑稽さに笑ってしまうのだけれども。ボロボロになった自尊心を癒すためには、誰かを否定し、自分を肯定してやるしかなかったのだ。他者の否定は、束の間の心の薬になる。

『ここじゃない世界に行きたかった』より引用

「心が戦闘モード」という状況に心当たりがありすぎて、ものすごいパンチをくらったかのような気持ちになってしまった。

忙しく過ごしていると、心身ともに余裕がなくなり、敵が増えたように感じることはある。人を羨んだり、些細なことでイラついてしまったり、相手に非があると決めつけてしまったり。

でもそれは事実なのか。私が勝手に作り上げた「仮想敵」なのではないか。
塩谷さんの文章を読んで、自分が今までどれほどエネルギーをムダに使っていたか気づいた。それはとても恐ろしい発見だった。

さらに言えば、「誰かを否定して自分を肯定する」ことで、自分を守っている状況を、私は未だに続けていることにも気づいたのだった。通りで生きているだけで疲れるはずだよ。

あなたの疲労はどこから?
私は「仮想敵」から。

こんな無意味なことは、今日でおしまいにしよう。
「仮想敵」、さよなら。

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