宿野かほるさんにハマってしまったかも
歩いていると突然、息子が
「今ここで隕石が落ちてきたら僕たち死ぬよね」
と話し始める、といったことがよくある。息子は人生で最悪の状況を考え出すのが得意で、それはまさに私とソックリな部分であり、これが遺伝なのか?と思いつつ、遺伝だとしたらもう取り換えることは出来ないので、ネガティブな親子として生きていくしかない。よろしくな、息子。
そういえば昔、階段をのぼろうとしたときに、階段から手が出てきて足をつかまれたらと思うと怖いよね、という話を友人たちにしまくったのだけど、誰一人として「わかる!!」とは言わなかった。「え?そんなこと考えたこともなかった」と言っていて、あぁそうなのか、そういうことを考えないで生きる人もいるのか・・と遠い目をしたことを思い出した。息子はもちろん「わかる!!」の人だったので、親子そろって「怖いよね!!!!」とはしゃいだ。決して喜ぶ場面ではないのに、同じ思いを抱く仲間を見つけて嬉しくなってはしゃいでしまった。
そんな最近の読書は、宿野かほるさんの『ルビンの壺が割れた』。
新潮文庫の「ステンドグラスしおり」がどうしても欲しかったので、「日本一の大どんでん返し(と宣言したい)」と書かれた帯につられて購入した。
帯につられて購入すれば、期待を裏切られる可能性が高いということは、今までの経験からわかっていたことではあった。とはいえ、裏切られたと感じるのは自分が期待するからであり、これはすべて自己責任なのだよな、と冷静にとらえることが出来たので、今回は淡々と物語に集中することが出来た。
私が気になったのはメッセージを送り合う二人であり、それは最後まで読んでみても何故にこの二人はメッセージを送り合っていたのかという謎が抜けないのだった。自分だったらと考えると、メッセージを送るということすら難しい気がしていて、本筋よりもそこが気になってしまった。
この本は賛否両論あったと書かれていて、賛否両論というのは批判が多い場合に使うと誰かが言っていたけれど、この本も批判が多かったのだろうか?と思わずにはいられなかった。
本を読了してから、宿野かほるさんという作家さんのことが気になって仕方がない。これはハマってしまったということかしら。覆面作家さんらしいので、宿野さんの人となりを知ることは叶わないようだけど、著作がもう一冊あるらしいので、そちらも読んでみるつもり。
小説って面白い。もっと読みたい!と今は思える。これって本当に幸せなことだ。
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