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結婚するって決まったときの指輪の話。
独白です。恥ずかしいお話でもありますが…忘れないように
お付き合いをはじめて数年がたち、結婚することになった後、指輪を選ぼうという話になった。
彼女はスマホの画面を見せてくれました。
当時はお互いブラック企業の同僚同士。お金もなく、時間もなく、仕事に思い入れはありましたが、生活には少々苦しかった頃です。
結婚指輪を買うお金も、二人で少しづつ貯めたものでした。
正直、アクセサリーになんて全く興味のないもけおです。
ある日、彼女が欲しいと言った指輪を買いに行くことにしました。
ちなみに、ドイツのブランドだと知ったのは少し後。
北海道在住なのに、一番近い取り扱い店が東京だと知ったのは、さらにも少し後。
値段を知ったのは、店頭に並んでいる目当ての品を見た時でした。
今なら、もう少し冷静に下調べをすることもできたのでしょうが…。
当時、国内で販売され始めたばかりのブランドだったらしく、Webサイトでは値段がわからず、結婚していた同僚に聞いた結婚指輪の相場金額で『大体』の金額を押さえて、多少高くても大丈夫だろう。と、その時持っていた数十万円を握りしめて、東京にお出掛けしたんですね。
もちろん、握りしめた現金では買うことはできません。
しゅんしゅんしゅんしゅんしゅゅゅーん…。
店頭で、彼女が漫画でよく見る表現のように小さくなっていったのを覚えています。
借金をすることに、すごく嫌悪感がある彼女にとって、ちょっとした絶望だったと後から聞きました。
一旦作戦会議とばかりに、近くのコーヒーショップへ逃げ込むも、しょんぼりした嫁ちゃんとふがいない気持ちでいっぱいになってる僕。
さらに悪いことに、コーヒーショップでコーヒーをトレイに乗せた状態で席を探しているときに、前を歩いていた店員さんの急な方向転換にぶつかり、手に持っていたコーヒーを落としてしまう失態を犯します。
普段ならそんなことで、声を荒げたりしないと思うのですが、この時僕は、店員さんに向けて横柄な態度をとってしまいました。なにやってんの。と。
謝る店員さんに、気分を害したのでもうコーヒーはいらないと伝える僕。それなら返金を、という店員さんにそんなものはいらないと言う僕。
嫁ちゃんはすっごく悲しい気持ちで見ていたそうです。
店員さん、本当にごめんなさい。
その後。数時間の作戦会議と、明らかに不機嫌になってしまった彼女の機嫌を取りなおすのに数時間を要した後、未来の僕のお小遣いから、分割で捻出することで合意した僕たちは、改めて指輪の売っているお店に。
僕は高額な買い物にビビりながら、ローンの申し込みをしました。恥ずかしいことにローンなんて組んだことなくて、思い出すのは手汗をいっぱいかいていた事ばかりです。
まったくもって格好悪い思い出でなのですが、この時二人で買った指輪は今も毎日、左手の薬指にいます。
嫁ちゃんになって、二桁年月たった今でも、胸を張って彼女は言ってくれます。
『これはいい指輪』
お金がない時に頑張って買ったことをほめてくれます。
僕が嫁ちゃんがお店でしょんぼりしたことを話します。嫁ちゃんはカフェで僕がおこした不始末をやんわり叱ります。僕はいつも煮詰まったコーヒーを飲んだ顔をします。
変な話ですが、これは僕が幸せだなって思う話です。