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小説 本好きゆめの冒険譚 第三頁

 私は4才になった。

 幼稚園に入園である。

 入園式の時、「パパ」はビデオカメラで撮影し、
「ママ」は「こんな日が来るなんて」感激で溢れる涙をぬぐう為にハンカチを顔に当て続けていた。

 本当に溺愛である。

 私は元々、身体が弱かったせいか、あまり外で遊ぶことがなくパパとママ以外の人を知らない。幼稚園デビューが対人関係デビューでもあるのだ。

 最初は、戸惑っていたけど、すぐに友達が出来た。

 皆からは「ゆめちゃん」と呼ばれ、毎日が楽しい。

 ある日、友達を家に呼んでもいい?って言うと

「ゆめが友達を連れてくるなんて…」と感激した2人は大喜び!

 パパは有給を取って、なんの記念日ですか?というぐらいの、パーティーになった。
 勿論、パパはビデオカメラで撮影をしている。

 今夜の夕食は、私が好きな「ミートソーススパゲッティ+ハンバーグに半熟目玉焼きのせ」。とろ~りたまごがあらびきハンバーグの肉にからみついて、たまらなく美味しい。

 良かったね、良かったねとママは涙ぐみ、パパは何度もビデオを見ては「ココ!ココのゆめが、かわいい!」と何度も言っている。

 パパと一緒にお風呂に入る。

 自分で洗えるようになったんだけど、パパの顔が少しだけ寂しそう・・・だから洗ってもらう。
風呂から上がって、身体を拭いていると、ママの顔が、何だか寂しそうに見えるのは、気のせいではないようだ。

 だから、思いっきり両親に甘える。
 すると2人は、満面の笑みを浮かべる。

 私はこの両親が大好きだ。

 夜、いつものようにママが絵本を読んでくれる。

 何度も聞かされた「桃太郎」。

 私は少し「疑問」を持った。


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