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高校の入学式でマルチに勧誘された話

他人が絡む話なのでフェイクを入れています。

高校2年生の4月に全日制高校から通信制高校に変わった時の話である。転校組でも入学式なるものに参加する必要があった。
当時私はこの進路に全く納得できておらず相当不貞腐れていたのだが、入学時にはせめて友達ができたら通い続けられる確率も上がるのではと思い直すことができ、積極的に人に話しかけた。しかし相手から返ってくるのは社交辞令又はスルーだった。
そんな時に話しかけてくれた子がいた。年齢も離れていたのにしばらくの間とても仲良くしてくれて、プライベートでも遊んでいただいた(皮肉でもなんでもなくマジでありがたく思っている)。しかし向こうも通信には周囲にぶち込まれただけでであり文句タラタラだったようで、最終的には飛んだ。それっぽい素振りは何度も見せていたので驚かなかったけど、ちょっと悲しかった。

若干タイトル詐欺になってしまったが、変な勧誘をされたのは私ではなく母だった。
その子の親がまぁちょっとアレな人で、出会ってすぐに連絡先の交換を迫られ、その後ひたすら自分の家庭について自語りされたそうだ。迷惑なように思えるが、その話を聞いた母は、その日限りの話では境遇が似ているように思い親近感を感じて、自分の家庭のことも結構喋ってしまった。
そのタイミングで今だと思われたのか、わずか数十分でヨクワカラナイお薬とその講習会に勧誘されたそうだ。慣れた手つきでカバンから分厚めのパンフレットまで出された。おそらくマルチ商法かネズミ講である。
私の母からすれば「向こうから迫って来られただけで仲良くしていたつもりはない」らしいが、その割には個人情報を喋ってしまっていた。
その人の家と自分の実家が近いことを言ったら会話の流れで場所がバレたこと、そしてよくこっちに来ることを言ってしまったと戦慄していた。
まぁ、普通に考えて子どもの入学式という場でそんなことをされるとは思わないだろう。

その日は何事もなく解散したが、しばらくの間繰り返し電話がかかってきて、「とりあえず講習会に来てほしい」とめちゃくちゃ迫られていた。私は、「子ども同士の人間関係はまた別だから、そんなこと気にせず無視しろ」と言ったのになぜか律儀に電話に出続けていて自分の母までどうにかなるのではないかと正直マジで怖かった。
母が「休日は家族と過ごしたい」などと適当に断ったら、「家族も連れてきてほしい」「平日でもいい」「講習会が嫌なら個人的にあのカフェでお茶だけでも」ととにかくしつこかったそうだ。
また、ある日には「娘にあの日見せた薬のパンフレットを渡しておくので、つむぎちゃんに受け取ってもらって2人でじっくり見て」と言われたと母に報告された。私もその後数ヶ月は結構警戒しながら通学していた。でも全然渡されることはなかった。その子の判断で渡さなかったのだと思う。

その子が学校を飛んだことで自然と縁は切れ何事もなく済んだ。結局あれが何の薬だったのかはよく分からず、勧誘の仕方が色々と雑だなと思った。
あと、見るからに自分の親よりも毒親レベルが高くて、この世の闇を間近で知った。

余談だが、その日母は他の保護者とも話すようになっており(すごい)、その中にものすごく印象のいい人が1人だけいたそうだ。その人はすごく美人で、学生時代心理学専攻で精神保健福祉士も持っていて、不登校になってしまった子どもにに対する考え方も女神のようだと話していた。要約すると「とにかく自由に好きなことをさせておけばみるみるよくなるんですよ」みたいなことをおっとりと話していたそうだ。押し付けがましいこともなく、当時母はその人柄や考え方に感銘を受けていた。でも私はその子のことを入学式以降一度も見ていないし、入学式の日もとても生き生きしているようには見えず、今では母とは「あれはなんだったんだろう」「第一印象で人を決めつけるのはよくない」という話になっている。

終わり

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