『自転しながら公転する』 山本文緒 (著) / グルグル悩む主人公 / 著者は noter さんだった
読みはじめて「期待した内容と、ちょっと違うかな?」と思ったが、Amazonのレビューが 4.4⭐️ 1,435個の評価。
読み続けると、心がふらつく主人公の行方が気になり、一気に最後まで読み通した。
電子書籍は Kindle Unlimited 対象、Kindle換算515頁の長編。
読後、noter さんの書評を読もうと検索してみると、著者ご本人がnoterさんだった。
最後の投稿は、2021年1月27日。
「その後どうしているのかな?」と調べてみると、2021年10月13日 58歳で亡くなられていた。
遅まきながら、ご冥福をお祈りいたします。
Story
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TVドラマ
昨年暮れ、TVドラマになったらしい(観ていないので中身は不明)。
感想と少しのネタバレ
読む本が初めての著者のとき、読み始めは少し身構える。
「この著者は何が言いたいのか?」「どんな文体?」「世界観は?」「自分の小説に取り入れられるところはあるのか?」等々。
長編とは知らずに読み始めたので、物語が進展せずダラダラと日常生活の描写が続く感じがし「読み止めようかな」と思ったが、プロローグに書かれているベトナムでの結婚式シーンに物語がどう繋がるのかが気になり、読み続けた。
プロローグがなければ、読むのを止めていたかも知れない。
本編でプロローグの謎は解決せず、エピローグで主人公都(ミヤコ)の今後が明らかになる。
サラッとしているのはプロローグとエピローグだけ。
本編は主人公の渦巻く思考のフィルターの掛かった視点で物語が進み(進まない?)、考え方の異なる母の視点の話が所々に差し込まれる。
主人公の思考が、20~40代の女性から共感を得ているそうだ。
性別も年齢も異なる読者(MOHです😅)からすると、エモーショナルな心の動きを活字にする表現が参考になり、登場人物に共感するのではなく「人は(性別に関係なく)いろいろなモノを天秤に掛けて、打算しながら恋愛をする」のがよく分かる小説だと思う。
ちなみに、主人公都と貫一との会話の中で小説のタイトル名「自転しながら公転する」が語られるが、一種の比喩で物語に影響を及ぼすものではない。
(以下ネタバレになるので注意)
エピローグとプロローグは数十年後の未来、SF小説。
エピローグは、主人公都の娘視点で語られる。
本編とは直接関係のない未来の日本も語られており、そこは共感する。
差し支えない範囲で引用させていただく。
この小説の初版は2020年秋だが、小説の未来予測よりも現実の進行は早まっているように思う。
山本文緒氏 著作本(Amazon Kindle)
直木賞受賞作「プラナリア」は、Kindle Unlimitedではないが、ざっと見たところ Unlimited 対象は11冊。
評の多い「恋愛中毒」は読んで、苦手な心の描写の参考にしようと思う。
MOH