
掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集
原題 = A Manual for Cleaning Women(岸本佐知子訳)
扉絵の写真は、ご本人😊
著者はこんな方
ルシア・ブラウン・ベルリン (Lucia Brown Berlin, 1936年11月12日 – 2004年11月12日) はアメリカの短編小説作家。彼女には少数の熱烈なファンがいたが、存命中に大衆的な支持を得られることはなかった。2015年8月にアメリカの出版社 Farrar, Straus and Giroux がスティーブン・エマーソン編集で彼女の短篇集『掃除婦のための手引き書』(A Manual for Cleaning Women) を出版すると、彼女は没後11年目にして突然の名声を得ることになった。発売2週目にはニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに登場し、数週間のうちには彼女のそれまでの著作は全て売り切れてしまった。それらの著作はほとんどの文学賞の対象外だったが、「ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー」の「2015年の10ベストブック」を含む多くの賞に名前が挙げられた 。またキルクス賞の最終候補にもなった。
出版状況
日本語訳が新刊本としての発刊されたのは2019年、noteにもたくさんの投稿。
本のタイトルで、note内検索をすると表示される投稿は200以上😲
今年3月に文庫本が発売され、丸善本店文庫本ランキングにも展示されていた。


感想など
この方々の感想が、私の読後感に近い感じ。
槙野さやかさんは、随分前にnote更新を停止されているそうです。
深緑野分さんは最近更新がないようです。
お二方とも小説家。
この短編集、Kindle換算で305ページ、全24編。
それぞれの短編は短く、的確な表現で話が始まり、サクッと終わる。
短編ごとに内容は異なり、作者の人生を切り取って散りばめたような短編集。
一編ごとに知らない街、知らない場所が出て来ても、あたかもそこにいるように情景が目に浮かび、臭いまで感じられる表現が興味深く、翻訳も素晴らしい。
短編どうしに内容の繋がりはなく、いわゆる波瀾万丈な人生が窺え、話の内容は厳しい人生の数々でも、作者は常にそれらを冷静に捉え記述している。
読み初めのところをご紹介
「エンジェル・コインランドリー店」
ニューヨーク・ダウンタウンのコインランドリーを使ったことはありませんが、若い頃、ロンドンのコインランドリーを使ったことがあり「コインをマシンの「受け」に噛ませて、グルッと回して、スイッチ押す」のに、コツが必要だったことを思い出しました😊
「私のジョッキー」
救急救命室でのお話。
『三ページもかかって女の人の着物を脱がせるミシマの小説みたいだ。』
思わずニヤリ😊
追加:次巻も出版中
そもそも彼女の本を思い出したのは、この本の続きが出版された記事を見て『すべての月、すべての年』
Amazon カスタマーレビュー
○前作品集は24編289頁、本書は19編367頁。つまり、前作品集では短い短編が多く、本書では長めの短編が多い。
○前作品集では男女の性行為の出てくる作品は2編ほどであったと思うが、本書では19作品中10作品でこれが出てくる。広い意味でのラブ・ストーリー、ラブ後ストーリーが多いともいえる。
○長めの短編が多いので、ストーリー的には前作品集よりも、分かりやすく読みやすいものが多いかな。しかし、意外感、ユニーク感、(心地よい)衝撃は前作品集のほうが高い。
○多彩なユーモアが楽しかった前作品集にくらべると、本書はシリアス、苛酷な作品が目立つ。暴力も前作品集より目立つ。
MOH