韓国における少子化と移民問題と高麗人について
韓国では、急激な少子化と人口減少が社会問題となっています。この深刻な少子化により、労働力不足を補うために移民の受け入れが重要な議題となっています。ユン政権は、地方の特定地域に5年以上居住すると永住権を与える制度や、外国人労働者の受け入れ拡大に積極的に取り組んでいます。
こうした中で注目されているのが、高麗人問題です。この記事では、韓国社会における高麗人問題について詳しく解説します。
高麗人の歴史的背景
高麗人とは、かつて朝鮮半島を離れた朝鮮系の人々を指します。その多くは、1800年代後半から1900年代初頭にかけて、李氏朝鮮末期の政治的混乱によりロシア極東地域へ移住しました。一部の都市では、朝鮮人が人口の大きな割合を占めていたとされています。
強制移住
ソビエト連邦が誕生した後、1930年代にスターリンが民族や階級ごとの強制移住政策を実施。この政策により、極東地域に住んでいた多くの高麗人が、カザフスタンやウズベキスタンといった中央アジア地域へ移住させられました。
一部はウクライナに移住した高麗人もおり、ウクライナ戦争の影響で韓国に移り住むケースが話題となったこともありました。
文化的同化
中央アジアなどに移住した高麗人たちは、ソ連の政策によって韓国語の使用を禁じられ、文化的な同化が進められました。
そのため、彼らはDNA的には朝鮮系であっても、ロシア語や中国語を話し、生活習慣や文化が韓国のものとは大きく異なる状況にあります。さらに、ソ連崩壊後もロシアが国籍を付与しなかった人々も多く、その後も多くの困難を経験してきました。
韓国への高麗人の受け入れ政策
こうした背景を持つ高麗人に対して、韓国は近年積極的に受け入れ政策を進めています。
2001年には、中国に住む朝鮮民族だけでなく、それ以外の地域に居住する高麗人にも居住権を付与しました。2014年には高麗人の家族の移住も許可され、韓国に移り住む高麗人の数が急増しました。この背景には、財閥企業が安価な労働力を求めたという側面も指摘されています。
2023年時点では、中国語やロシア語圏出身の朝鮮民族が韓国に76万人居住しており、これは韓国国内に居住する外国人全体の約30%を占めています。特に、ウズベキスタンやカザフスタンなど中央アジアの国々からの移住者の中に高麗人が多く含まれています。
高麗人と韓国社会の課題
韓国における高麗人の多くは、工場などのブルーカラー労働者として働いており、韓国の製造業にとって欠かせない存在となっています。しかし、彼らが抱える課題も少なくありません。同じ朝鮮民族で見た目は韓国人と同じでも、言語や文化が大きく異なるため、社会的な摩擦が生じています。
格差と教育の問題
高麗人世帯の多くは、韓国の平均的な世帯に比べて低収入であり、子どもたちは韓国の公立学校に通っていますが、韓国語の理解が不十分なため、学業についていけないケースが目立っています。そのため、放課後に特別な韓国語授業を設けている学校もあるようです。
生活習慣の問題
また、学校内では高麗人グループと韓国人グループが分かれてしまうことも多く、互いに交わらない状況が生まれています。これは子どもたちだけでなく、大人の社会でも同様であり、生活習慣の違いからトラブルが頻発しています。高麗人が集まる地域から韓国人が離れ、高麗人ばかりが住むエリアが形成されるケースも見られます。
少子化と移民政策の課題
韓国では少子化が進む中、労働力不足に対応するために外国人労働者を積極的に受け入れる政策が続けられています。一方で、急激な移民の受け入れにはトラブルもつきものです。同じ民族的ルーツを持っていても、文化的な違いがある人々が急増すると、社会的な分断や摩擦が生じることは避けられません。
韓国では移民の受け入れを巡って世論が分かれています。保守的な政治家でさえ、移民を受け入れなければ国家が消滅するという危機感を抱いています。しかし、移民受け入れに対して否定的な意見を持つ人も少なくありません。
韓国の人口
韓国の人口は、50年後には現在の半分になると予測されています。このような韓国の状況は、同じく少子化問題に直面する日本にとっても重要でしょう。
まとめ
韓国における少子化問題と高麗人の増加について取り上げました。少子化や労働力不足への対応として、移民政策がどのように進むのか、そして社会的な統合をどのように図るのか、今後も注目したいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
ご参考
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