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投資初心者のための情報収集術、疑う力と分析


 投資に興味を持つ人が増えているように感じます。
 私は、投資を直接促すような発言はしていません。むしろ、投資にはリスクがあること、そして投資の厳しさをリアルな視点で説明することを重視しています。投資の良い面だけでなく、その過酷さや、簡単に利益を得られるものではないという現実を、私自身が機関投資家として経験してきた知見をもとに解説しています。

「投資とかした方がいいの?」というような質問をいただくこともあります。これに対して私は、「やりたい人はやったらいいと思いますが、私はおすすめはしません」とお答えすることが多いです。

投資初心者への質問と回答、誤解の解消

投資初心者へのアドバイス

 投資を始めたばかりの方から、「情報収集の方法を教えてほしい」というリクエストをいただくことがあります。その際、まず最初にお伝えしたいのは、投資家はすべての情報を疑うところから始めるべきという考え方です。

情報を疑う姿勢を持つことが重要

 ニュースで流れる情報や金融機関の営業担当者が話す内容を、あまりにもストレートに信じすぎる方が多い印象を受けます。しかし、その情報をそのまま鵜呑みにしているうちは、投資家としてのスタートラインに立っているとは言えません。
 
なぜなら、誰でも知っている情報は、すでに市場に織り込まれているからです。そのため、その情報を基に投資をしても、市場平均並みのリターンしか得られません。仮に市場平均を上回る利益を得られたとしても、それは偶然の可能性が高く、その利益を持続することは難しいでしょう。

気づいていない情報

 市場平均以上の利益を目指すのであれば、市場参加者の多くがまだ気づいていない情報や、市場がまだ織り込んでいない要素を見つける必要があります。これは、インサイダー取引を勧めているわけではありませんが、たとえば以下のようなケースを考えてみてください。

  • 潰れそうだと言われている会社が、財務分析をしてみると意外と耐久力がありそうだと分かる場合

  • 新商品が市場の期待以上に売れる可能性がある場合

  • ある国の新政権下で、財政状況が予想以上に悪化する可能性がある場合

 これらのように、多くの市場参加者が抱いている認識の中に誤りを見つけ、その誤りを基に投資することで、利益を得ることができるでしょう。つまり、「市場参加者が考えていることの中で、何が間違っているのか」を常に探す必要があるのです。

複数のモデルで採用している統合ブレーキシステム(IBS)に欠陥があり、納車台数が大きく減少しました。そして、この不具合に関連する追加の保証費用の計上が利益の減少要因であるとのことです。予想より業績の悪化のペースが早く見えましたが、一時的な要因のようです。

BMWの財務分析

背景を理解することの重要性

 ニュースや金融機関の話をそのまま信じるのではなく、「そもそもそれはどういうことなのか」、「なぜそうなっているのか」を深掘りして理解することが重要です。たとえば、ある会社が大きな損失を出したり、特定の国の通貨が急落したりした場合、その背後にある要因を分析することで、多くの市場参加者が見落としている点に気づくことができます。

セミナーを開催したり、YouTubeでも情報を発信していたりするような証券会社もありますが、その内容というのは、ほとんど空っぽと言わざるを得ないようなものもあります。

メキシコペソの下落要因と投資家へのアドバイス

トルコリラの例

 具体例として、トルコリラの下落を考えてみましょう。この通貨が下落している要因として、政治的不安定性、インフレ率の高騰、中央銀行の政策などが挙げられます。これらの要因を一つ一つ精査することで、現在の市場価格よりもさらに下がる可能性があるかどうかが見えてきます。
 このように、「なぜそうなっているのか」を理解することは、投資家にとって非常に重要な作業です。

背景の理解

 ニュースメディアでは、起こった出来事を伝えるだけで、その背景を詳しく解説することは少ないように感じます。
 
例えば、「ある企業が破綻しました」、「ある通貨が急落しました」というニュースに対し、なぜそれが起こったのかという要因や、その背後にある歴史的な経緯について詳しく触れられることは稀です。
 私は、こうした背景に重点を置いてお話ししています。ニュースを単に伝えるだけではなく、「その背景に何があるのか」、「どのような可能性があるのか」を皆様が考えるきっかけとなる情報を提供することを目指しています。

複数の角度から情報を確認する重要性

 私は様々なメディアで情報収集を実施しています。海外メディアや国内メディア、イギリスのBBC、アメリカのCNN、中東のアルジャジーラといったテレビニュースも参考にしています。それぞれに偏りがあると感じる部分もありますが、同じニュースを複数の角度から確認することで、情報の偏りを補正することができます。
 経済指標については統計局が発表する一次データを直接確認しています。メディアの記事には解釈が含まれているため、一次データを見ることで客観性を保つようにしています。

私たちは公表されているデータをもとに戦う必要があります。
 データが実態を表しているかどうかの検討に加え、データが実態をどれだけ表しているのか、どうすれば補正できるのか、何のデータで補正するべきか常に判断する必要があるでしょう。

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おわりに

 この記事では、投資初心者の方に向けて、情報収集の考え方と方法について解説しました。情報を疑う姿勢を持ち、背景を分析する力を養うことで、投資家として一歩ずつ成長することができます。
 Youtubeでもnoteでも、日々の世界経済や金融市場で起こる出来事について、背景や要因を掘り下げて解説しています。継続してご覧いただければ、世界経済や投資についての知識が飛躍的に深まるでしょう。また、投資家に限らず、営業やトークの話題作りにも役立つとの声もいただいています。
 これからも引き続き、皆様のお役に立てる情報を発信したいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


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