社会人がフォルケホイスコーレに3ヶ月滞在した正直な感想
こんにちは。デンマークのフォルケホイスコーレにきて、あっという間に3ヶ月経ってしまい、無事に帰国しました。ということで、フォルケで過ごしてみた感想を綴っておこうと思います。
結論から言うと、私は休職してまでフォルケにきてよかったです。
社会人になってから忙しない毎日だったけれど、今このタイミングで立ち止まる時間を作って本当によかった。自分にとっては有意義な時間だったと思います。
ただ、これは私の留学目的に合致していたからであって、日本のメディアで絶賛されるほど、フォルケは全ての人にとって完璧で理想的な場所ではないかなとは思います。
もちろん学校によって、またその時期に滞在している生徒によって、経験することは大きく変わるものです(それが運ゲーすぎる要素)。このnoteの内容はフォルケ全体に当てはまるわけではありませんので、あくまで私個人の感想として読んでもらえると幸いです。
フォルケにきて良かったと思う点
わざわざデンマークまで来る必要あるか?w という感じではありますが、テスト勉強や課題に追われることもなく、毎日3食おいしいご飯が出てきて掃除と洗濯だけすればよい寮生活、最高!!一人暮らし限界OLだった時を考えると、夢のような、人間らしい生活を送ることができました。
海を眺めながらのんびり読書ができて、ゆっくり考え事ができる。まさに私が求めていた環境です。忙しない毎日から離れて立ち止まれる場所がフォルケです。
私の学校はドイツ国境付近の田舎に位置していて、森とフィヨルドに囲まれています。バスが1時間に1本1路線のみというアクセス悪い場所なので、どこかへ遊びに行くというより、散歩することが多かったです。
自然に囲まれているからこそ、アウトドアやカヤック、ガーデニングといった授業を取れたのが、私的にはとても満足度が高いポイントです。これまで経験できなかったことをたくさん楽しめました。
フォルケはテストも評価もなく、小学校というかまさに「大人の幼稚園」という感じ。自分の好きなことを色々やってみよう!うまくできなくたっていいんだよ!という甘々な環境で、日本人の感覚ではイマイチであろうが基本的に褒められるので、仕事に疲れた社会人にはその優しさが沁みました。
また人間関係については、学校やその時期にいる生徒によって大きく雰囲気が変わるものですが、デンマーク人生徒も留学生も皆穏やかで優しい人たちだったので、特に問題なく平和に過ごせました。ただしメイン層が19〜21歳なので、28歳の私からすると「みんな若い…」と感じる雰囲気です。パーティーなどもありますが、基本的に何事も個人の自由なので、一人になりたい時と誰かと関わりたい時を好きに選べる適度な距離感が私には心地よかったです。
海外大学への留学との大きな違いは、フォルケは寄宿学校であるという点です。なので共同生活を通じて、デンマーク人とデンマークの文化をより学べる環境だと思います。大学留学って意外と現地学生より留学生同士の関わりの方が多いので、デンマークについて深く知りたい人にはフォルケがおすすめかなと。
共同生活では嫌でも周りを頼らざるを得ず、大人になった今改めて人間性の部分で成長できたところはあるかなと思います。
フォルケのいまいちな点
私の学校は、申込時にHPを見た時は全ての授業で英語翻訳してもらえるような感じだったのですが、実際は英語で開講される授業に座学はありませんでした(現在は時間割がHPに載ってる)。
デンマーク語とデンマーク文化の授業は留学生必須の授業で、そのほかにガーデニング、カヤック、陶芸、ヨガ、ビルディング、アウトドアの授業をとりました。いわゆるアカデミックは学びは一切なくて、遊んだり雑用させられたりしているだけ、、笑
何かを学びたいという気持ちが強い場合には、英語で授業が開講されているかどうか事前にしっかり調べたほうがいいですし、交換留学で大学に行くのがベストなのでは?と思います。
これは私の学校に限ったことかもしれませんが、よく言われる「対話を重視」という要素はあまり感じませんでした。座学はディスカッション中心のようなのですが、そもそも座学を取れないので対話要素を享受できず。政治的な話とか普通にしてるのでそこらへんのハードルは低いのかなとは思います。
また学校の基本言語はデンマーク語なので、学校のあらゆる張り紙・掲示板の書類・スケジュールなど全てデンマーク語。先生からのアナウンスや参加必須のものは英語に翻訳してくれるのですが、時々翻訳してくれなかったり、なんか英語になると情報が省かれてるなという時もあり、ややストレスでした。生徒も基本的にはデンマーク語で喋ってて、こちらが英語で話し始めれば英語で話してくれるけど、その労力も地味にかかります。
留学生に対する受け入れ体制は学校によって変わってくると思うので一概には言えませんが、英語が第一言語ではない環境へいくという覚悟が必要ですし、日常会話程度の英語力がないとだいぶしんどいと思います。
フォルケに向いている人
実際に3ヶ月過ごしてみた感想として、上記に当てはまる人は、フォルケに向いていると思います。
私自身が日々働きまくりで生活が乱れていた社会人なので、早寝早起きできて3食しっかり食べられて適度に運動するという健康で文化的な生活ができる環境を求めている人にはおすすめです。
ただ仕事をやめて一念発起して行く場所か?というと、そこまでの価値を見出せるかは、正直ちょっと怪しいなあと思います。その決断ができる人って、何かを新しく頑張ろう!!という気持ちだと思うのですが、フォルケは何かを一生懸命頑張る場所ではないと考えたほうがいいと個人的には思います。(IPCだったらたぶん話は別かも…)
フォルケはあくまで「今という時間を自由に楽しむ場所」。誰かに何かを指示されることも、何か決まっていることもないので、自分の意思がないと、有り余る時間をどう過ごしたらいいんだろう?となってしまうかもしれません。
私は大学生の時に交換留学をしていて今回が2回目の留学ということもあって、そこまで新鮮な経験がない+共同生活に大きなストレスがなかったのですが、初めての留学だったら共同生活・集団行動はもっと大変だっただろうし、その結果もっと誰かと深い会話をしていたかなと思います。(ストレスとか落ち込むことがある方が、誰かと話したい気持ちが湧くので)
最後に全体を振り返って
フォルケにきた最初の頃は、あまりに自由すぎる環境に、「私は時間とお金をかけてなんでフォルケに来たんだろ…1ヶ月で帰りたいわ…」と早々に飽きていました。
3ヶ月でちょうど良くてこれ以上の滞在はtoo much…というのが正直なところですが、3ヶ月フォルケで過ごしたことで、自分のトゲトゲしていたメンタルは落ち着いたし、「私の人生は意外と充実していて幸せなのでは?」と思えるようになりました。
去年個人的に色々思うことがあって、このままでいいんか?と自分を追い込んだり焦ったりしてなんか辛かったんですが、大丈夫だよ私は十分楽しいよ〜〜と今は心から言えます。自分が人生で大切にしたいことを改めて考えられたし、エネルギーもたっぷりチャージできました。
デンマークで日本との違いを感じたのは「バウンダリー(自分と他者との境界線)」の概念がしっかりしてることと、政治や歴史に対する教養の部分かな…ほんとバウンダリー大事ですよジャパン…
それに関連して、日本ではあんなに誰かと対話がしたいと思っていたのにフォルケでは一ミリもそんな欲求がなかったのはなぜか?を考えてみると、私のモチベーションはやっぱり「怒りや憤り」だということ。やや日常から離れた生活をしてたのでモヤモヤする情報に触れておらず、滞在中はなんかボケっとしていました。思考力が落ちた気がする。
今後またイライラの連続だと思うけれど、「どうにかしたい」と強く思えるエネルギーをポジティブに社会に還元できる方法を模索していこうと思います。まずは小さなコミュニティやブッククラブを作れるといいかな。
3ヶ月立ち止まってみた結果、やっぱり私は今の仕事が好きだし、今の生活が好きだとわかりました。だから無理をしすぎず、でもまた仕事を楽しく頑張っていこうと思います!
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