東京でできなかったことが、ローカルならやれるという誤解
こんにちは!温泉道場グループという、ローカルで温泉やサウナ事業を手掛けている会社の経営に取り組んでいる、宮本まさきです。
先日、キャンプ場で焚き火を囲みながら話す合同企業説明会「かこむ仕事百貨」に企業として参加してきました。日本仕事百貨さん主催です。
いろいろな企業が焚き火ブースを構えて、学生も社会人も問わず、就職や転職に興味のある方が好きな場所に行って仕事の話をきく2泊3日のイベントでした。
僕は午前中に、自分が今までローカルで何をやってきたかや、どういう想いやっているかや会社の事業の取り組みなどを説明し、参加者の方とお話をしてきました。
午後からは、うちでやってるサウナブース見に行ったり、キッチンカーで買ったもの食べたり楽しんでました。楽しむの大事。
ローカルなら、場所や職種にとらわれない働き方ができる!?
コロナをきっかけにローカルへの転職活動をしている会社員、今すぐ転職は考えていないけどどんな会社があるか知りたいフリーランス、地方で就職し地域活性に取り組みたい学生、いろいろな人とお話しました。
みなさん、ローカルで働く=場所や職種にとらわれない働き方ができると思って、魅力を感じているようです。
ある意味それは正しいです。
実際、僕はもともと東京で会社員として働いていましたが、転職してかれこれ8年目で、そういう働き方を実現できている気がします。
現住所は三重県ですが、東京・埼玉・愛媛は毎月出張で移動して泊まっていますし、温泉・サウナ・BBQ・キャンプなどを楽しみながら、夜は地方の美味しいもの食べたり飲んだり、そんな感じの毎日です。
「どれくらいやらせてもらえるんですか?」―この質問が出たら、黄色信号
僕たち温泉道場グループは、温泉事業だけではなく、アウトドア施設や、野球チームの運営なども行っており、常に「他とは違う、ローカルならではのチャレンジをしよう」という意識で、新しいことを仕掛けています。
そんな僕たちの会社に新卒で応募してくれる人たちは、こうしたチャレンジングな社風に興味を持ってくれている人が大半です。採用活動は、自社企画で行っているため、応募してくれている時点で、弊社の雰囲気やカルチャーに共感してくれる方が多いです。
また、温泉道場グループは「地域のリーダーを輩出する」ことを目標にしており、求職者の方々の中にも、将来的に起業したい、地域を引っ張っていけるような人材になりたい、といった志の高い人がたくさんいます。
ただ、ローカルでチャレンジしたい!という想いをもった方と、話す中で、この質問が出たら特に気をつけて話そうと思うポイントがあります。
それは「どれぐらいやらせてもらえるんですか?」という質問です。
説明会や面接の場で、権限移譲に関する認識のギャップを感じることがよくあります。
「実際、どれくらいやらせてもらえるんですか?」
「やりたいことって、どれくらいできるんですか?」
「何年目くらいから、任せてもらえるんですか?」
そんな質問を受けると、ちょっと誤解があるかもしれないと思って説明します。権限は、委譲されるものではなく、もぎ取るもの、勝ち取るものだと思っています。
特に温泉道場グループは、赤字に陥っている事業の再生を行っている会社です。一つ一つの店舗ごとにお店の状態も地域の環境も全く違います。正解がない中でチャレンジを繰り返し、文字通り手探りで進んでいます。
人事においても「〇年目になったら、リーダーになって、こんなことができる」といった定型パターンは存在しません。時が来たら権限をもらえるとか、やらせてもらえる、という感覚では、あまりローカルでは合わないかもしれません。
言われ尽くしてきた言葉かもしれませんが、今社会はものすごいスピードで変わっています。去年の正解が、今年はもう通用しない、なんてことはどの業界でも起こっているはずです。
逆に、1年目から得意な分野やスキルを活かしながら、活躍することは十分できますし、そういうメンバーの邪魔をしないように意識して取り組んでいます!
東京でできなかったことが、ローカルならやれるという誤解
次に、中途採用の方で丁寧にすり合わせた方がいいなと感じるのは、「この会社なら自分のやりたいことができる」という誤解です。
面接の場でも、自分の夢ややりたいことを力説する姿を見ることがあります。
並々ならぬ情熱を感じる一方で、「会社はあなたのやりたいことをサポートするためにあるんじゃないんだけどな」という感想を抱いてしまいます。
僕も東京からの転職でローカルに来ましたが、東京の大手企業で働いていた人の中には「ローカルの中小企業だったら、東京ではできなかったことがやれる!チャレンジしたい!」という憧れに近い感情を抱いている人が少なからずいます。
そうした場合、「会社がチャレンジさせてくれる」ことに対する期待値が異常に高いことが多く、熱い思いと意欲にほだされて採用したものの、結局本人のやりたいことと、会社としてやっていくことがズレており、離職してしまうケースもあります。
「育成」という言葉はあえて使わない
とはいえ、そういう血気盛んな人材そのものが貴重ですから、とりあえず採用して、その後育成すればいいじゃないか、という意見もあります。
弊社も、様々な教育カリキュラムを用意していますが、それでスキルや知識の習得はできても、根本的な「受け身体質」の改善までできるかと言えば、僕は懐疑的です。
原理原則や売り上げを上げる手法を伝えることはできたとしても、結局どう実践するか、やりきるかは本人のもともと持っている力によるところが大きいのではないでしょうか。
そこの意識改革までをできる体制を構築するのは、採用以上にコストも時間もかかることですし、逆に意識改革をしようしようとしすぎると感情的な話にもなって、お互い不幸になってしまったりもありうると思います。
また、採用活動の場面では、求職者から入社後の教育体制を気にされることもあります。
成長したい、という意欲の表れであるとも言えますが、一方で僕は育成を期待する態度には少し疑問も感じます。ですので、社内ではあまり「育成」という言葉は使わないようにしています。
育成という言葉を使うと、どうしても「育ててもらえる」という感覚が生まれ、待ちの姿勢になってしまうからです。教えてもらえることが当たり前にはなってほしくないのです。
ローカルは東京に比べると、何もない環境です。
何もないからこそ、チャレンジする場はたくさんあるし、自分の力で出来ることは多いです。東京では、その他大勢に埋もれていたスキルも、ローカルではめちゃくちゃ重宝されます。
一方、何もないからこそ、東京では必要ではなかった、1対1での信頼を築くためのコミュニケーションが必要だったり、総務や労務などの間接業務も必要ですし、サポートも少ないです。
ローカルキャリアを考える時は、過度な期待を持って飛び込んでしまい、ギャップに苦しむことのないように、あらかじめ期待値のすり合わせをしておくのがオススメです。
ということで、温泉道場グループでは、こういうリアルな地域活性の現場の話や、期待値のギャップが起きないよう、いろいろなことを包み隠さず話せるようにインターンシップを実施しております。一緒に取り組むことに興味を持ってくださった方は、ぜひご参加ください!
(編集協力:伹馬 薫)