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王道を知ったうえで、王道に負けないような攻め方をするのがベンチャー流

ベンチャー企業だからこそ、「王道」を知ることって大事だなと思っています。

勝つべくして勝つ、定番の戦略にはどのようなものがあるのか?
分かりやすい事例を出しながら、解説します。


そもそも、僕たちがやっているのはベンチャー的な戦い方

こんにちは!全国で日帰り温泉「おふろcafé」を展開しているONDOグループの宮本です。

ONDOグループは、現在創業13年目になりますが、創業当初から、レガシーな温浴という業態に、ベンチャー企業の新しい経営手法を取り入れています。

というと、なんだかかっこよく聞こえるかもしれませんが、単に資源がないので、今ある資源を最大限活用し、会社を成長させる方法を考えて実行してきました。

例えば、こんなこと。

・メディアに取材をしてもらって、広告宣伝費を使わずに、広報効果を得る
・SNS等、フリーで使える顧客コミュニケーションを使う
・パートスタッフからも役職者を増やしたり、インターンシップを活用し、正規雇用意外の戦力を活用する
・地元の有力者やインフルエンサーを巻き込んでクチコミを誘発する。

これらは、温浴業界に限らず、知名度もお金もないベンチャー企業がよく取る手段といえます。

では逆に、定番の戦略・王道の戦略にはどんなものがあるのか?というのが本日の主旨です。

圧倒的な資金力で、赤字前提でマーケットをかっさらう「PayPay」

ビジネスの王道を考えるときに、最も分かりやすいのは「PayPay」です。

決裁手段という新興マーケットの中で、ソフトバンクグループの資金力を利用して、とにかくユーザーを集めまくってきました。

・決裁手数料無料 (※2021年9月に終了)
・定期的な還元施策
・TVなどのマスCM

など、資金を潤沢に持っているからこそ打てる戦略を、ブレずに丁寧に続けています。

「カネに物を言わせる」と言うと印象が悪いかもしれませんが、徹底的に王道戦略に振り切っています。

今はSNSでクチコミ戦略やインフルエンサー活用が目立っているようにも見えますが、それらはあくまでスモールビジネスやベンチャーのための戦い方。

「PayPay」はそうしたベンチャー戦略には一切手を出さず、自分たちの強みをよく理解した戦い方をしています。

ちなみにそういう状況なので、ずっと営業赤字です。

今はユーザーも増え、加盟店が支払う決済手数料も有料となり、サービス開始時よりも赤字幅は縮小されていますが、それでも5期連続の赤字です。(※23年3月期決算で、約223億円の赤字)

「PayPay」の戦い方は決して珍しいものではなく、グローバルでは、出資を受けて、営業赤字前提で先にマーケットを抑える経営手法はよく行われます。

ただし、途中で資金ショートしたりバックオフィスの問題で終わってしまうケースも多々あります。このあたりは、uber、wework、ラッキンコーヒーなどを比較してみると面白いです。

他にも、営業赤字前提の拡大戦略をとっているのは、出前館です。コロナ禍での大規模な広告宣伝や、配送料無料のキャンペーンなどは記憶にあたらいいですね。

今は広告宣伝費などのコストカットにも動いているようですが、依然として赤字は続いており、こちらも5期連続の赤字となっています(2022年9月~2023年5月連結決算)。

出前館は、調達している資金を消費し続けながら、息が続く間に、Uber eatsを超える圧倒的なユーザー数を取れるのかが勝負になります。

おふろ業界での王道のパターンとは?

さて、ここまでは誰もが知る会社の事例をみてきましたが、ここからは少しマニアックにおふろ業界のビジネスの王道を考えてみましょう。

paypayや出前館のようなWEBサービスは、ある一定以上のユーザーを確保したら黒字化します。

一方で温泉やサウナは場所代がかかるビジネスなので「赤字覚悟でマーケット抑える」というやり方は通用しません。

では温浴やサウナの王道パターンって、どのようなものでしょうか。

そこで取られる手段は大きく2つあります。

①他事業で資金調達して、商品力をあげる
②他事業のコネを使って原価を抑える

それぞれについて解説します。

①他事業で資金調達して、商品力をあげる

これは、アミューズメント企業(いわゆるパチンコ店)がスーパー銭湯を運営するケースを考えると分かりやすいです。同じ敷地内にパチンコとスーパー銭湯が併設されていたり、パチンコが1Fにあるビルで上階層にサウナやカプセルホテルが入っているというお店は実は全国的によく見られます。

そこでは、

・パチンコで稼いだ資金を使って、温浴・サウナ施設に投資する
・パチンコで利用している看板や広告会社に、温浴施設も頼むことで、単価を安くする

などができます。

②他事業のコネを使って原価を抑える

これは、不動産・メーカー・エネルギー系の会社が温浴事業に参入するケースをイメージすると分かりやすいです。

・安く用地取得をする、好条件の土地を得て、出店する。
・自社の備品を使うことで、安く調達して出店する。
・水道光熱費を安価に済ますことが出来る。

ということような考え方で、その他の事業者よりも原価を抑えることができます。

王道を知ったうえで、王道に負けないような攻め方をするのがベンチャー流

今日はベンチャーの戦略と王道の戦略を比較してみました。
違いが分かりやすいように、あくまで極端に書いています。

僕たちはベンチャー企業だからこそ、大手企業が取り入れている王道を知る必要があります。

王道を知らないまま=相手の戦い方を知らないまま、ただがむしゃらにやっても勝つことはできません。自分たちの強みを知らない間に手放してしまったり、王道と被る戦略をとってしまいがちです。

<小さな会社、無名の会社、できたばかりの会社の戦略の考え方>
①まずは王道を徹底的に考えてみる。
②自店舗は、王道と同じことを絶対にしない。

これくらい割り切ってみても良いのではないかと思います。

他社の事例や歴史を知りたい人は、ちょっと分厚いですが、下記の書籍はよく纏まってます。全体を理解したい人や歴史好きな人はおすすめです。

このnoteは、ONDOグループ社内に向けて僕が配信しているコラムを基にしています。経営者として考えていることや、旬の情報、ビジネスのノウハウなどをシェアしています。
同じハコモノ事業者さんや、サービス業の方々にとってもお役に立てるものがあるのではないかと思い、内容を少しだけ編集して公開しています。

宮本昌樹@ONDOグループ CHRO

1986年生まれ、和歌山県出身。27才の時に地域活性を目指して株式会社温泉道場入社。支配人を2年間経験したあと、店舗リニューアル開発・コーポレートブランディング、フランチャイズ事業などを経て、HR部門に注力。2019年より、ONDOグループ1人目の社長として、三重県の株式会社旅する温泉道場の社長を兼任している。

Twitter:https://twitter.com/masakimiy



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宮本まさき/温浴施設を救いたい
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