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適応障害〜休職中のあれこれ⑩〜
前回の続き
適応障害発症から約5ヶ月、自転車の旅を終えたあとの私には、何か変化があったのだろうか。
休職を始めてから半年くらいが過ぎたころであるが、自転車旅から帰ってきた私は結局
「自然の中で1人になりたい」欲
と
「家族に心配かけるのはちょっとなあ」欲
との狭間に舞い戻っていた。
結局ワタシは、自分を1番に考えず、周りに気を遣ってウダウダと生きていくのか。
いやちょっとまて。
そうやって生きてきた結果、適応障害を引き起こし、仕事ができない状態になったんじゃないのか。
自分の欲求と周りの目線、今はどっちを大事にすべきなのか、
ワタシは自分の欲求を大事にすることにチャレンジしてみる事にした。
そこで編み出した作戦が、
「妻を自然の中に連れ出すこと」
である。
なんて身勝手なのだろうか。
勝手にうつ症状を患っておいて、勝手に自分の都合の良い方向へ事を進めようとするなんて。
今までの自分ではなかなかそんな横暴な、わがまま勝手はできなかったが、
適応障害になってからは
「なるべく自分の欲求に素直に忠実に」
のスタイルを勉強するべきだ。
これは実行していく事でしか身につかないのだ。
なので、私はなんとかして妻を道連れにするために、妻へのPR活動を実行する。
そもそも妻は大の潔癖症で、素手で土には触れないし、地面に携帯を落とすと必ずアルコールのウェットティッシュで30秒ほど拭かないと気が済まないようなタイプである。
当然、虫なんかは絶対NG。
2ミリ程のコバエにもいっさい触れる事などできないような人だ。
そんな人をアウトドアの世界に引き込むにはどうしたら良いか。
幸いにも妻は、ファッションには特に熱心で、自ら某雑誌の読モをやるくらいの人なので、
「カワイイ」には目がない。
さて、戦略が少しずつ見えてきた。
アウトドア×カワイイ
これで攻めよう。
いや、まだ足りない。
もう少し妻の傾向を踏まえて攻めたい。
妻は読モをやるくらいの承認欲求の強い人だ。
当然、SNS(instagram)での活動もそこそこやっている。
これだ。
次のステップ、YouTubeだ。
アウトドア×カワイイ×YouTube
戦略は定まった。
ここからワタシは毎日のようにキャンプや登山のYouTubeをわざわざ家のテレビで見るようにした。
いやでも妻の目に入ってくるように。
登山のYouTubeの中でも、特にファッションチェックをしてるチャンネルだったり、同世代くらいであろう、登山女子のYouTubeをひたすら毎日妻に見せた。
2週間ほどYouTubeによるイップット作戦を実行した後、ついにワタシは切り出した。
「じゃあ今週末筑波山いくか」
筑波山はワタシも何度か登ったこともある山。
そして初心者にはおすすめの百名山である。
2週間の誘導作戦は功を奏し、
妻は「まずは試しに」という前置きをして、ワタシの誘いを承諾した。
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今では登山ブランドのモデルをやるほど、妻も山界隈の人になった。
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かくして2人で筑波山に登り、疲労困憊で帰宅したのだが、
今では妻は登録者6000人の登山女子YouTuberとして活動してしまっているものだから面白い。
私の人生の中でも、勝手わがままな作戦で成功した数少ない事例である。
まあわたしは作戦成功と言ってはいるが、
妻は私のために(私の病気を気遣って)一緒に山に登ってくれているのだろう。
彼女の優しさに感謝である。
さて、妻を登山の世界に引き込むことに成功した当の私は一体どうなっていくのか。
次回へ続く。