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適応障害〜休職中のあれこれ14〜
前回の続き
適応障害発症から半年以上が過ぎた
3000m級の山には雪がつき始めたころ
私は山に呼ばれている気がして(実際には社会から目を背けたくて)
「人類アルプス行けば大丈夫計画」
を目論んだ。
ついに、計画は実行される。
北アルプスの女王、『燕岳』の登山口で車中泊をキメたわたしは、
睡眠導入剤の1ターン(1時間半)だけの睡眠で、その後は他の車の出入りやおじさんたちの車内からも聞こえるイビキなどにより眠れずに夜明けを迎えた。
車内でカバンに道具を詰めていく。
登山は、常に身の危険のリスクがともなう行為だということは、皆感じているところかと思う。
私は入念にYouTuber様や山と渓谷社様などで学ばせていただき、
道具をそろえて準備してきた。
この時期の北アルプスは、山頂付近は最低で-5℃くらい。
北の国で生まれた私にとっては、冬の平均的な気温くらいのイメージで、あまり不安はなかった。
しかし今回はその中でテントを張って1泊するということなので、そりゃもう親族関係者各位は「こんなうつ病野郎がそんな危険なことするなんて!」と心配していたに違いない。
ただ、わたしにはどうしても山が呼んでいるように感じて(本当は世の中から逃げたくて)、リスクを背負ってでも行ってみたいと思い、登山口に立っていた。
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睡眠不足なはずだが、眠気を通り越していたのか登り始めはかなりスピーディに進んで行った。
登山口にくると、これから山に登る緊張感からか、平地でぐるぐる考えていたあんなこと(例えば自己否定的な)やこんなこと(例えば希死念慮的な)は頭に浮かばなくなる。
平地で散歩などしているときには、どうしてもぐるぐる思考が出てきてしまって、涙を流しながら散歩してる怪しいおじさんになりがちだったが、
山で山歩(さんぽ)しているときにはぐるぐる思考が全然出てこない。
一歩一歩、地面のどこにどう足を置いて進もうか、どのくらいのペースなら無事辿り着けそうか、コースは間違ってないか、などなど考える必要があるから?
とにかく「無心」になれる
それがわたしが山に呼ばれたい(社会から逃げたい)大きな理由だと感じている。
最近、山界隈の方々と何故山に登るのか、話す機会が増えたのだが、
やはりみな同じようなことを言っている。
みな、だれでも平地のことを忘れたいと思うときだってあるのだ。
当時の私は特に、「何も考えたくない」という想いが強かった。
誰にも会いたくない
何も考えたくない
何もしたくない
そんな想いが強かった。
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燕岳の美しさは、何も山頂だけにとどまらない。
中房温泉登山口からのコース自体に美しさがあるように思える。
登りはずっと急登が続く。
しかし、ちゃんと30〜40分おきに、休憩のためのベンチが設置されている。
学校の授業は何分だったか思い出してほしい。
そう、50分授業がごく一般的なはずだ。
でもどうだ?授業の最後の方は皆集中力が切れていなかったか?
授業中先生に見つからないようにマンガを読んでいたり、
遠い席の友達に手紙をバケツリレーしてもらったり、
気がついたら寝ピクで机蹴ってみんなに驚かれたりしていなかっただろうか?
そう、燕岳はその集中力の限界50分よりも少し早めにベンチを作ってくれているのだ!
なんて心遣いなんだろう。
登山道を作ってくれた方、整備を常にしていただいている方に、大感謝である。
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0カロリー理論を盾におしることコーラをキメる。
しっかりと整備され、休憩ポイントも充実している山なので、アルプス初心者にもおすすめされる山である。
この日も平日(金)だというのに多くの登山客が登っていた。
充実した休憩ポイントをうまく利用し、心配だった体力切れも起こさずに、4時間半ほどで宿泊地である「燕山荘」のテント場にたどり着いた。
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テントを張り終えた後は足を伸ばしてしばらく動けなかった。
朝早く出たこともあり、まだテントも少なく場所は選び放題。
しかし、テント場について緊張感が途切れたのか、ほぼ何も考えずに、無心でテントを張った。
そう、あまりテントを張ったあたりの記憶がないのだ。
北アルプス初心者向けとはいえ、普段は家でゴロゴロ、1日の歩数が50歩のおじさんが急な坂を4時間半登った疲労は、
バスケットボールの試合をダブルヘッダーでフル出場した以上のものだった。
燕岳の山頂はテント場から、残り30分くらいのところにある。
少しいけば山頂に着くのだが、しばらく動けず休むことにした。
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人を見下ろすのは人としてやってはいけないことだが、この時だけは下界を見下す気分でいられる。どうだ、参っただろう、と自分が偉いわけでもなんでもないのに、達成感に浸っている。
次回、山頂までいけるのか〜下界の空気を吸う 編。
続く