かんたんな心理テストです。木を描いてください。
「かんたんな心理テストです。木を描いてください。」
メンタルクリニックにはじめて行った日に言われた。
…そう。わたしはメンタルクリニックに行ったのだ。
ずっとなあなあにしてきたコトと向き合うために。
ー
自分は弱いだけ。
そう思って、メンタルの不調は
自己流で対処しつつ誤魔化してきた。
過去のトラウマ。
日々の生きにくさ。
ホルモンバランスの崩れ。
ちょっとした出来事が原因で、
心が壊れてしまうことが人生で何度かあった。
それでも誰にも相談できず、
なんでもないふりをしてきた。
「そんなことで甘えるな」
「暗い顔されるとこっちまで暗くなる」
その言葉が怖くて。
ー
けれど、年令を重ねた今
もっと自分を大切にしてあげたいと思うようになった。
今だって、批判の言葉への恐怖はあるけれど
それ以上に、自分の内なる言葉を聞いてあげたい。
自分の中から聞こえてきた「助けて」に答えてあげたい。
仕事を少しお休みしつつ
プロであるお医者さんに相談してみることにした。
背中を押してくれたのは、
ふと気になって手に取ったこの本。
集中力がなくて、文字が滑って読みにくいときでも
太文字と漫画を追うだけで内容がわかるようになっている。
読み手に寄り添ったやさしい工夫がうれしい。
うつ病だけでなく、身体の不調を感じたときに
読み返したくなる情報いっぱいの本。
この本のおかげでクリニックにいく決心がついた。
メンタルでお医者さんに掛かるのは
私にとってかなり勇気のいる選択だけれど
今後の自分にプラスになると信じて足を運んでみた。
ー
木を描く心理テストは『バウムテスト』というもので
絵の大きさ・木の感じ・色使いなどから様々なことがわかるらしい。
私は描くことが好きだから、
いつものように"普通の木"を描いた。
特徴のない広葉樹。
これで何がわかるのだろう。
特記事項など何もないんだろうな、そう思った。
…診断結果が返ってきた。
対人交流で必死さが見えて疲れていると記載されていた。
世間と足並みを合わせようと藻掻いているのが絵でバレバレだった。
心の中を見透かされているようだった。
恥ずかしさでなんとも言えない表情をしていると、
先生が「今まで頑張ったね」と寄り添いの言葉を下さった。
温かさに少し泣きそうになる。
もっと早くお医者さんに相談していればよかったかな…
そう感じつつ、お薬をもらって次回検診の約束をした。
ー
今まで抱えていたものが、そう簡単に消えるとは思わない。
けれど、誰かに聞いてもらえるとか自分を深く知るとか。
そんな一歩で少しずつ軽くしていくことはきっと、出来る。
…きっと、出来る。
いつか、自分にとって最高の木が描けると信じて。