部長の思い出

中学生の頃、柄にもなく部長を務めた。

それは、第1志望の高校に行くために内申点を上げるいう不純な動機からだった。(結果的に不合格になるのだが…。)が、部長をやっていくにあたって身についたことや学んだことは多かった。

一年生の頃から、私は先輩たちに媚びていた。緩い文化系の部活ではあったけど、私は先輩に会ったら挨拶を欠かさなかった。(他の部活だったら当たり前かもしれないけれど、挨拶をしない同じ部活の同級生もざらにいた。)後輩ができると常に気を配り、たくさん話しかけて距離を縮めた。

その努力は、部長を決める際の有権者、すなわち先輩と後輩からのうけの良さにつながり、見事、私は部長に選出された。だけど部長になりたかったのは私だけではなく、候補者がもう1人いた。その子は、どちらかというと私の苦手なタイプだった。媚びを売らず、思ったことをそのまま口に出してしまうような、とっつきにくいタイプ。だけどクールでまわりが見えるしっかり者。

私ははじめから分かっていた。本当にリーダーシップがあって、部をまとめられるのは彼女だということを。部長に適任なのは、私じゃなくて、彼女だということを…。そのことを部員に悟られないように私は必死に部長業務に取り組んだ。いくら内申点のためだけとはいえ、そのことは悔しかった。 

彼女は副部長として、1年間私とタッグを組んでもらうことになったのだが、やはりまとめるのがうまくて彼女が部長だった方が良かったのではないかと思うことも何度もあった。私とはタイプが違ったので、うまく噛み合わないこともあったけど(役職につくまでその子と話したことさえなかった)助けられたことも多く、とても感謝している。卒業して以来、一度も連絡を取っていないが、今何をしているのだろうか。どうか元気でやっていてほしい。




#部活の思い出

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