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劇団鹿殺し「キルミーアゲイン」

劇団鹿殺しさんが、過去の作品を映像で無料公開してくださるとのことで、さっそく観劇しました。

「キルミーアゲイン」。

これは2016年に上演された作品で、もう4年も前の作品なんですね。

当時大学2回生の私は、直接観に行くことができず少し後悔していたので、こうやって観劇することができてうれしいです。

すごく不思議な作品でした。


私が、観始めてすぐに思った感想は、「何これ?」。

というのも私、お芝居を観るときに、あらすじというものを読まずに観劇するんです。

だから、どういうストーリーなのかほとんどわかってなくて。

手がかりは…公演のタイトルくらいしかないんですよね(笑)

「キルミーアゲイン」

全く意味が分かりませんでした(笑)

それこそ、観劇し終えた今だから、kill、me、 againの3単語を並べてカタカナにしているんだなってわかったんですけど、最初観た時はキルミー、アゲインと切って読んでいて、意味がつかめず。

とまあ、そんな感じの情報しかないうえで観始めたもんなんで、劇団の話やら、はらわたがどうちゃらとか、もう「何これ?」状態で(笑)


でも観ていくうちに、設定やストーリーがつかめてくると、めちゃめちゃおもしろくて!!!


この作品の動きとして、現在と15年前の回想シーン(?)を行き来する情景描写がされていて。

それこそ、最初に私が「何これ?」と思ったのは、時系列がうまく追えなくて、急に変わる展開についていけてなかったというのも、あるのかもしれません。

けれど、今と昔っていう、時間の離れた空間を表現しているのに、どこかリンクするところがあって。


ただね、作品の終盤のいわゆる種明かしがあるまで、私はが全然わかりませんでした。

いろんなキャラクターがいて、観ている私たちは時代を行き来していて、もうね、不思議な感覚。

というか、もうここまでくると、何が何だか分からなくなってる(笑)


ピンスポに照らされた藪中くんが、チューバのケースをあけている意味深なシーンとか、突然出てくる吹奏楽部、急遽行われたオーディション、人魚と呼ばれるやまめちゃん。

何回も繰り返すけど、時代と出来事がぐるぐるしていて、よくわかんなくなるんです。

それがまた、この作品にのめりこませてくれるというか。


作品を観た後、ホームページを見てみたのですが、こう書いてありました。

キャプチャ

【引用】http://shika564.com/15th/story.html

なるほど、と深く納得しました。

劇中の作品は、演劇の脚本として書かれた虚構なのかもしれない、けれど現実に起こった出来事でもあって。

ダムの建設を止めるために、貝殻をつけて人魚の格好をして踊る喜劇をしたつもりだけど、15年前のダムの建設工事開始の前日の悲劇を思い起こすものであって。

私たち、本当の観客から観ると、今と昔を行き来する演劇を観ているのに、その中でも演劇が行われていて、現在と15年前を行き来する情景で。

そして、時代や背景や人々の感情が動きまくっていて。

いろいろと交錯する出来事でふわふわとした気持ちになっていました。

悲劇を喜劇にしてしまう、現実を虚構にしてしまう。

そうやって事実に背を向けているようで、向き合おうとする人々の姿。

私が観ていたのは、なんだったんだろう。





劇団鹿殺しさんの作品を、しっかりと観たのは今回が初めてだったのですが、おもしろい役者さんばかりで、とても楽しかったです。

表情だったり動きだったり、1人1人の細かな表現が、作品を際立たせていました。

そして、音や照明の迫力がすごい。

実際に劇場で観たわけではないのに、それでも感じる迫力。

音の選び方や光の当て方が、この作品をより謎めかせるというか。

素人の私が、何を言うてるんだって感じですがね(笑)


こんなにもステキな作品を、観劇することができてよかったです。



あ、あと最後に。

私、中高と吹奏楽部だったので、ぜひとも参加したかった…(笑)

クラリネットなんですけどね。


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