ドイツで幼稚園教論資格・諦め版(これ参考になるかな?!)
今月で、幼稚園でのお仕事を終えることとなりました。
実は8月から、Erzieher エアチーアー/幼稚園教論になる為の学校へ通い始めていました。PIA ピア ( Praxisintegrierte Ausbildung ) と呼ばれる制度 ( 幼稚園で働きながら学校へも通う ) で、お給料をもらいながら資格がとれるというものです。
私の場合は、
・月火は幼稚園で労働実習 ( 8時間/日勤務 )
・水木金が学校 (水木/ 8:15〜15:10、金/ 8:15〜13:25 )
というスケジュールでした。
学校は3年間ですが、2年目には数学が加わったり3年目には実習が週3日になったりと変化します。
1年目の授業内容は以下の通りでした。
<水曜日>
1-2限目: 8:15〜9:45
プロテスタント又はカトリック宗教
3-4限目: 10:05〜11:35
英語又はフランス語
5-6限目: 11:55〜13:25
幼児教育全般についての専門
7-8限目: 13:40〜15:10
幼児教育全般についての専門
<木曜日>
1-2限目: 8:15〜9:45
音楽又は美術(週ごとに交代制)
3-4限目: 10:05〜11:35
選択授業
5-6限目: 11:55〜13:25
幼児教育全般についての専門
7-8限目: 13:40〜15:10
幼児教育全般についての専門
<金曜日>
1-2限目: 8:15〜9:45
ドイツ(「日本で言う「国語又は文学」)
3-4限目: 10:05〜11:35
幼児教育全般についての専門
5-6限目: 10:15〜13:25
幼児教育全般についての専門
< テスト >小テストがちらほら。大きなテストは秋から冬にかけてと学年末(夏休み前)の2回。
同学年PIAクラスは2クラス(各クラス約30人)
私のクラスは29人中、明らかな外国人が私を含めて4人だけで、ドイツ語がペラペラなフランス人とオランダ人、ドイツ語に問題ありだと分かるのは、私とブラジル人だけでした。
年齢は、17歳の男の子から始まり、20代30代が混ざっており、40代も私を含めて数名おりましたが40代半ばの私が最年長でした。
結論から言いますと、8月は実習のみで毎日仕事に行っており、学校の授業が始まったのは9月からなのですが、今、この10月末で、私は学校を辞めます。実質2ヶ月間の学校生活でした。
私が今学校を辞めると、私の分の席が空きますが、来月から新しく入る予定の人が既に1人いるので、まだ今からでも新しくクラスに入れるということです。(ドイツでは、多少の学校への入学の遅れなど余り気にされません。) PIAピアは人気のある制度だそうなので、キャンセル待ちの人に私の空いた席を使っていただけると思います。
辞める理由としては、
①ドイツ語問題
外国人はB1というドイツ語レベルから学校は受け付けてくれますが、B1では厳しいかと思います。(※あくまでも個人的な感想です。)
授業内容は理解できても、新しい専門的な単語を沢山覚えなければならず、レポート作成も多くあり、家で持ち帰って作業出来るものだけでなく、授業中にその場でグループで話し合ったり話をまとめる作業などもあります。
私にとって難しかったのは「授業中にその場で話し合って話をまとめ発表する作業」、そして、授業に直接は関係のない「職場で作成が必要なPortfolio(ポートフォリオ/随時何をどのように行ったか仕事内容を記録する為のファイル)の準備と、学校の先生が職場を訪ねる訪問日の為の資料まとめ作業」でした。学校からの指示の仕方も的確ではなかった(ドイツ人クラスメイトですら質問攻め&困惑…)と思うのですが、私にとってはもう複雑過ぎて大変でした。
② 友人問題
クラス唯一のアジア人で、最年長です(もうひとつのクラスにもアジア人は居ません)。最年長な事はそんなに問題ではなさそうですが、アジア人である事が馴染みにくいようです。クラスメイトには積極的に話しかけますし、話しかければクラスメイトも一緒に会話を楽しんではくれますが、向こうから話しかけてくれることはほぼありませんでした。どう接したらいいのか向こうも伺っているというか、距離をとられてしまうのです。私の学校では休憩時間になると教室に鍵がかけられ、全生徒が校庭へでないといけない(!)のですが、皆が自然と数名ずつのグループになって出ていく中、話しかけてひっついていくか1人で出て行くかになります。特定の仲の良い人がなかなか出来ないのです。別に学校生活それでもいいのですが「授業内容やちょっとした疑問を気軽に確認し合える人が居ない」という点が凄く心細かったです。ドイツ人クラスメイトに尋ねれば答えてはくれますが、皆も新しい学校生活が始まったばかりで自分自身に精一杯ですし、何処となく「自分の努力次第でしょう(ここに居るのは自己判断でしょう)」という雰囲気があります。ヨーロッパでは皆の自己責任感が強いといいますか。尋ね続けていると距離をとられてしまうし、誰か支え合える同志が見つかっていれば、心強かったと思います。(※私の通う学校では、担任曰く、私が初めての日本人生徒だそうです。田舎ですから、もっと外国人も多い大都市の学校ならまた違った雰囲気かも知れません。)
③自分のプライベートな時間が無くなる
学校外でのレポート作成や宿題が出されます。私のドイツ語レベルでは、学校から帰宅すると宿題をこなす以外にも授業内容の整理&予習が必要で、その間に夕食の準備&片付け、掃除洗濯などの家事があります。日中は学校で慣れない環境に心理的に疲れており、更に授業中はドイツ語に集中しっぱなしです。
疲れが半端ないので早く寝たいのに、プライベート時間を潰しても就寝までに終わらず、終わらなかった作業は週末に送られて週末まで潰す日々となってしまいました。
④夫婦間がピリピリ
夫は私の学校を応援してくれており、疲れや大変さを理解して色々と家のことを手助けしてくれていました。夕食が作れずピザをとっても文句は言わず、作ってくれたり仕事帰りに電話で「何か買って帰ろうか?」と聞いてくれたり。朝起きられずにいると朝食を準備してくれたりもしました。ひっくり返っている家の中を整えてくれたり。時には課題を一緒にやってくれたり。でも彼も仕事で忙しい日々です。お互いに思いやってはいるのですが、お互いに対してというより状況にイライラしやすくなってしまいました。
これらの理由から、「これはまずい。これ、今の私に本当に必要なことかな?」と疑問を持ち『今、最も大切にしたいものは何か』を夫と共に話し合いました。
学校生活、大変なのは始めだけで、リズムが掴めてくれば落ち着くかも知れません。仲の良い友人も出来るのかも知れません。受けていて楽しい授業もあります。そして、3年間の学校生活をこなせば資格がとれます。
ですが、40代半ばの今、私が最も大切にしたいのは『夫との時間』です。
夫も「学校を辞めることは残念だけれど、また萌と夫婦でゆっくり過ごす時間がとれるようになるのは嬉しい。」との事でした。エネルギー価格の高騰もありますし、私の収入は多くないとはいえ無くなるのは不安です。今でももうひとつ事務処理のミニミニパートは続けていますから、先ずは来月からそこでの仕事を増やそうと思います。今のところ夫だけの収入で生活出来てはいますから、様子を見て、子供達との仕事がやっぱりいいなと思ったら別の可能性を探したいと思います。
何故、学校を辞めると仕事も失うのかと言いますと、PIAピアは州が(国が?)お金を出してくれるのですが、そのPIAピアを辞めると幼稚園が私のお給料を支払わなくてはならず、幼稚園の経営者であるプロテスタント教会の協会に「そのお金(補助員へのお給料)は支払えない。」と言われてしまったからです。
資格を持ってさえいれば、社員採用できるのだけれども…との事でした。致し方ありません。
かくして、私は幼稚園での仕事にまたまた終止符を打つこととなりました。同じ幼稚園で、今回が3回目です。
金曜日、園児達に再度「萌は今日がここで働く最終日です。」と伝え、用意してきたお菓子と遊びをして「さようなら。」となりました。勿論、残念ではありますが、気分はスッキリとしています。
通い始めた学校を辞めるというのは格好の良いものではありませんが、そもそも『学校にチャレンジしたこと』を私は誇りに思いたいと思います。
お陰で少し長く幼稚園で働くことが出来たし、ドイツの学校の様子を知ることも出来たし、クラスメイト達に会えたし、あ、音楽の授業で習い始めたウクレレは購入もしたし楽しいし(まだ1曲しか弾けませんけど)、夫との生活を大事にしたいと再認識することが出来たし。誰しも学校へ通う人達は頑張っているんだなとも再認識出来たし。( 継娘も専門学校頑張っているんだな、とかね。)
学校は辞めてしまうけれど、経験を通しての収穫は盛り沢山でした。
未来は学校へ通う前より大切なものを実感して過ごせるようになったと思います。
私が学校へ通えるよう手続きして下さった園長さんとは話し合って、ご理解と励ましを頂きました。園長さんは私が園で働けるように忙しい中毎回試行錯誤してくださりました。去る事をとても残念がってくださって恐縮です。
心からの感謝をここに。
学校の先生とクラスメイトには来月、お別れの挨拶をしに行きます。
人生、前へ進むのみです!!!
2022年10月29日
※ ここに書くのはあくまでも私の体験談です。
同じPIAピアと呼ばれる制度で学校へ通うにしても、地域や学校によって違いがあるようですので「PIA制度を利用して学校へ行きたい」と言う方は必ずご自身でご確認下さいね。
又、この記事は「難しかったのでチャレンジするにはよく考えた方がいいよ」というようなつもりで書いたのではありません。学校によっても授業の進め方に違いがあるようですし、先生方との相性の善し悪しもあると思います。そして私が、語学に関して(ドイツ語も然り英語も)苦手なタイプである事もここに明記しておきます。更に40代半ばという年齢&家庭持ち。そんな私が学校へ通うなんて自分でも無理があったのでは…とは思うのですが、それでも、チャレンジした事に後悔はありません。何事も経験。やってみてご自身で判断されるのがいいと思います。迷っている方がいらっしゃるなら「やらない後悔よりチャンスがあるならチャレンジしてみたらいいと思う。やり切れたならそれは素晴らしいこと。でもやってみて合わないな、しんどいなと思ったら、いつでも辞めてもいいんだということを忘れないで。」と思います。←私だ(笑)。自己肯定です。
因みに、Erzieherエアチーアーは幼稚園教論ですが、ドイツにはKinderpflegerキンダーフリーガーという資格もあります。日本で言うと保育士資格に近いのですが、Kinderpflegerキンダーフリーガーは子供を見守る役目で、教育には携わることの出来ない資格です。でも子供達と働くことが出来ます。Kinderpflegerキンダーフリーガーは2年間の学校で終える事ができ、勉強内容もErzieherエアチーアーほど複雑では無いと言いますので、ドイツで幼児達と働きたいと思う方がいらしたらErzieherエアチーアーかKinderpflegerキンダーフリーガーをご検討されてはいかがでしょうか。
※ErzieherエアチーアーもKinderpflegerキンダーフリーガーも、上記が一般的な就学期間ですが、学歴や通う学校の条件によっては2〜5年間となる場合があります。
(他にもTagesmutter ターゲスムッター/家で子供を預かる資格など、自身も母であるとか条件によっては数日間の講習で出来るお仕事もあるようです。)
追記: その後…
ありがとうございます。励みになります。 頑張って更新しますね。夫と美味しいものを食べたいな。