娘ちゃんの進路について、ヤキモキした話 (養育費&ドイツの進学・就職事情)
娘ちゃんが、高校を卒業します。
日本に置き換えて考えると、高校3年間に、もう1年(高校卒業資格と大学入学資格を取る為の1年)があり、その年を終えての卒業となります。
ですから、日本の高校卒業生よりも1才歳をとっています。その代わり…でもありませんが、ドイツの大学は基本3年間です。
ドイツでは、職について専門色が強く、後に就職したいと思った時には「どこを卒業したか」ではなく「何を学んだか」が重要となります。そして、それぞれの職業に適した学びを終えた者しか、その職種につくことが出来ません。
ですから、高校ではなく専門学校へ通う子供も多く、高校を卒業後大学へは行かずにAusbildung (アウスビルディング)と呼ばれる職業訓練の制度を利用して、将来つきたい職に関わる職場で働きながら学ぶという進路選択をする人も多いです。
どの職にも専門的に学んだ人達が働いていていいと思うのですが、違う職種に転職したいとなった時には簡単にはいきません。再出発はまた学び直してから、となるからです。ですから、大学に行くにしても「何を学ぶのか」は、将来に直結する重大な決断なのです。
娘ちゃんは、一体これからどうしたいのか。
私と夫には入ってくる情報が少なく、ヤキモキしていました。
前から「大学に行きたい。」とは言っていたのですが、「自分でもまだなりたい職業が分からないので、大学に行く前に休憩したい。」と言い出しており、本来ならこの10月から大学入学となるところを、来年の4月からにする、と言い出していたからです。
(ドイツの大学は年に2度入学のチャンスがあり、semesterゼメスターと呼ばれる学期毎に学びます。日本の大学のように、高校後は当たり前に大学へ入り、入学のタイミングも卒業もほぼ決まっているという形ではなく、もっと自由です。大学入学前に休憩したり、学期間に休学して語学留学してみたりする人もいますし、何年も大学に通う人もいます。ですから、大学には様々な年齢の人が通っています。)
夫と結婚する時に、養育費について私なりに想像していました。
ドイツでの成人は18歳ですが、養育費の支払いは最長25歳までです。25歳までに子供が自分でお金を稼ぐようになればその時まででいいのですが、大学などに長期在籍した場合、最長で25歳まで親には養育費の支払い義務があります。25歳って…。正直もういい大人では?と思ってしまうのですが、そう決まっているのです。
私にとっては、連れ子達が高校卒業後、職業訓練に通い稼ぎながら学んで就職につなげてくれたら勿論助かります。養育費の支払いが終わるからです。
でも大学へ行きたいと言われれば、それも連れ子達の人生、反対するつもりはなく、大学卒業までは養育費は払うと、その心づもりをしていました。
ですが、休憩されるとは思っていなかったのです!子供達への養育費の支払いが終われば、私にも、夫とやりたい事があります。養育費を払い続けている限り、私は支払う夫を支えながら生きる訳ですが、夫婦でしたいと思う事に回すことの出来るお金は、なかなか作ることが出来ません。
娘ちゃんが「休憩したい。」と言った後、夫に私の想いを話しました。「大学支援は心づもりしているけれど、休憩されるとは思っていなかった。娘ちゃんが学業とは別のことをやりたいと言うのなら、その間の経済的な負担は自分で責任を持ってもらいたい。」と。
夫はあまり裕福な家庭で育っておらず、自身もアルバイトをしながら学んできた人です。ありがたいことに夫も「自分の好きなことをするのなら自己責任で」という教育方針で、娘ちゃんに話をしてくれました。
「休憩したいならしたらいい。けれど、その間お小遣いは渡すけれど、今支払っている養育費そのままの金額は渡せないよ。自分でアルバイトするなり工面してね。」と。
私はその話し合いに参加はしていませんでしたが、娘ちゃんも「分かった。」と言ってくれたようでした。
その後、休憩中は英語圏でオペア(子守をする代わりに部屋と食事が提供される。場合によっては、おこずかいも。)をすると決まっていましたが、コロナでそれがなくなってしまったのです。
どうするのだろう、オペアに行けないのなら休暇なしで大学へ行くという検討もしたらどうだろうか。
大学へ行くなら3年間で卒業して欲しいのだけれど、ゆっくり卒業すればいいと思ってはいないだろうか。
夫も、娘にどうするのかと聞きたい気持ちはあるのだけれど、卒業試験でストレスを受けているのに今問い詰めたくはない、直接顔を見て話したい、と話を切り出せないままでいました。
娘ちゃんの登校すべき日々は終わり、彼の家によくお泊りに行っています。そこから夫へテレビ電話がかかって来るのです。この感覚も私からすると凄いなと思うのですが、夫に聞いたら「もう成人(18歳を過ぎている)のだから好きにしたらいい。」のだそうです。
そんな風に、楽しそうに過ごしている様子や旅行の計画は聞きますが、今後をどうするのかは話題に出てきません。
それらの様子から、私も夫も、娘ちゃんがちゃんと将来について考え始めているのか、不安になってきていました。夫は「付き合っている彼が、2人でズルズルだらしなくなるのではなく、良い方向へ引っ張ってくれる人でありますように。」と言っていました。
この10月から大学へ行くのなら、願書(のようなもの)を提出する必要もあります。ここへ遊びにくるのを待っていたら、話をして検討してもらう時には既にそのタイミングを逃してしまっている事になります。
私は継母の立場ですから、何処まで首を突っ込んでいいものやらもよくわかりません。ですが、私が継母の立場として養育費についてどういった心づもりをしているのか、この際だから娘ちゃんにも知っておいてもらおう、直接伝えておこうと思い、夫に娘ちゃんを傷つけるような表現はないかを確認してもらいながらメールを仕上げました。
でも、もしかしたら、表には出さないけれど娘ちゃんも今進路で悩んでいるのかもしれないと、送れずにいたのです。
夫と、どうなっているんだろうね、こうしたらどうか、こういう職が合うんじゃないか、それは合わないんじゃないか…とアレヤコレヤ話してみるも、本人が居ないのに想像で話していても意味がないね、となります。早く直接会って話したいけれど、会えるのはまだ先のようだし、テレビ電話で話しましょうか…と検討したり。
すると最近になって、娘ちゃんが、考える進路をメールで伝えてきてくれました。
この10月から大学へ行き、3年間学び、その後2年間(大学院のようなもの)でマスター資格(博士号)を取りたいと思っているそうです。
もしかしたら、実母や他の周りの人達から「どうするのか?」と問い詰められたのかも知れません。ですが、しっかりと考えてくれていて、ホッと安心しました。モヤモヤが晴れる、この感じ。
取り敢えず先ずは3年間の大学生活、楽しみながら勉強に励んでくれたらいいなと思います。マスター資格を実際に取るかどうかは、またその時に考えたらいいことですしね。
娘ちゃんから自発的に今後について考えを知らせてもらう事が出来て、書いたメールを送らずにいて圧を掛けずに済んで良かったと思いました。今回は強く、どうするつもりかと質問してみたい、発破をかけたい、と思ったのですが、子供を信じて待つことも大切なのだなと、学ぶことができました。
娘ちゃんも自立の準備をしているのだと信じ、見守りたいと思います。
2020年6月10日