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墨家は戦争に従事したか?【上篇】

 歴史雑記079
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はじめに

 墨家といえば、一般にはもっぱら「大国の侵略戦争から小国を救うために、自ら小国の側について戦った」というイメージで語られる。
 「非攻」という思想の実現のための実践が、傭兵的な守城への従事であったという理解で、これは酒見賢一『墨攻』によって一般に広まったものである。

 『墨攻』の下敷きとなったのは渡邊卓説だが、既に渡邊の死から半世紀が過ぎており、この間に先秦文献の研究は大いに進展し、出土史料も大量に出現した。
 それらの新たな成果も加えつつ、研究史を振り返りながら「墨家は本当に戦闘に従事したのか」ということを考えてみたい。
 

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