八咫烏は「でかいカラス」であることについて
歴史雑記149
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はじめに
この記事では、記紀における八咫烏が表題のとおり「でかいカラス」であることを、傍証を含めて淡々と記す。
現在は三本足で描かれ、大陸中国及び朝鮮半島にも早くから見られる「三足烏(さんそくう)」と習合してしまっているが、記紀、風土記、降って『先代旧事本紀』にも八咫烏が三本足だとは記されていないのである。
よく知られるように、記紀が編纂されるころには多くの漢籍が伝来しており、『史記』も『淮南子』(えなんじ)も既に日本に将来されていたと考えられている。
記紀編者は「潤色」「文飾」をしようと思えばできたのである。
これらを踏まえて、まずは原文から確認してみよう。
記紀の八咫烏登場箇所
さて、記紀における「八咫烏」の用例というのは実は非常に少ない。
実は、『古事記』には一箇所、『日本書紀』でも三箇所しか出てこないのである。
まずは『古事記』の登場箇所と、『日本書紀』の所見箇所を掲げる(【】は割注)。
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