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「卒アルのクラスページに、自分の写真がほとんどない」
そうなるように、仕向けた。大嫌いな卒アル委員を試すべく、当時の私が、計算して、やった。
大学4年生、卒業間近の冬。
卒アルのクラスページを作る、ってなった時、私は、友達の写真は載せたくて卒アル委員に写真を渡したけど、自分の写真は一切、送らなかった。
試そう、って、その時、なぜか思った。
私が自分の写真を送らなかったら、我儘で大嫌いなあのクラスメイトは、卒アル委員として、どんな反応して、どんな行動を取るんだろう。
この目で、確かめてやりたくて。
私、この4年間も結局、クラスのために、って、本当に色々な人を巻き込んで、また、自分を犠牲にして、動いてきてしまった。色々な人から言われたの、「美咲ちゃんは優しい、優し過ぎるよ」って。
でも、そうしたのは、当時の私が、心からやりたい、やるんだ、と思って、やってた。クラスのことを見過ぎるあまり、多分、自分への視野が、酷く、狭くなってた。それでも、自分を犠牲にしてまでクラスに尽くしたこと、悔いは無いよ。私はきっとそうすることでしか、自分を、表現出来なかったんだと思うから。
計算して相手にした優しさ、が自分を守って、でも、壊した。
時にはその所為で私の感情が上手くコントロール出来なくなって、誰かの時間を奪ってまで、話を聞いてもらうように、なってしまって。
だけどね、不思議なほど清々しいんだ。犠牲にしたことに、悔いは、無いの。
唯一の悔いは、友達に対して、素直になれなかったこと。だけど、あの時はあの時の私の、精一杯の主張を、してきた。高校までとは比べものにならないくらい、気持ちを伝えられるように、なったと思う。
クラスページを見た時、驚いた。「写ってるじゃん、私」って。反応の通り、私は、自分の写真は一枚も写っていないんだろうな、と思っていた。だけど、気を利かせたもう一人の卒アル委員が、載せてくれたのか。一枚、お茶碗に入っているお抹茶を、いただいている写真。
それにしても、誰がこの写真、送ったんだろうか。それか、あの写真はクラスで共有されているものだったし、誰も送ってなくて、私の写ってる写真を担任がどうにかこうにか探し出して、あれになったのかな。もしそうなら、担任の仕事、余計に増やしちゃったな。担任を困らせたかった訳じゃない。
今となっては、もう、なんでもいいし、どうでもいい。なのに当時はすごく、写らないようにすることに、酷く、こだわってた。
変に、意固地になって。
だからほんの少しだけ、卒アルを開いた今、になって、後悔してる。もっと、友達の写真も、私の写真も、友達との写真も、送ればよかった、載せればよかったな、って。大好きな居場所での、卒アル、だったのに。勿体ないことしたなって、思う。
だからせめて、今から、素直になろう。
そう、心に誓う。
P.S.
私、ただの捻くれ野郎。なんでこう言うことしちゃうんだろう。可愛げのない娘。やっぱりイカれてるし、変だし、頭おかしいんじゃないのかな。だって、性格のいいあの子は、沢山沢山、写ってたのがその証拠。私は異常者。それでいい。