第2章: 坐禅の準備
◎その昔、師匠カエルからワタクシ、坐禅カエルが聞いたところによると ...
カエル「あの ... そろそろ坐禅のやり方を教えて欲しいんスけど ...。」
師匠「OK、いいよ。ただしその前に、前にワシが言ったこと全部忘れて。人生楽になるとか、充実するとか。」
カエル「えええ〜?!何をおっしゃっちゃってるんですか??それじゃあ、この前教わったのは、一体何だったんスか?」
師匠「あのな、坐禅を続けるもちべーしょんを保つには、楽になりたい!充実したい!って思うのも良いんじゃよ。入り口は、それで大丈夫 ... 実際楽になるしな。でも、いざ坐禅をするときには、そういうのを全部棚上げしておかないと、おかしいことになるんじゃわ。これ、なぜだかわかる?」
カエル「う〜ん ... う〜ん ... あ、そうか!坐禅して何かを求める癖を落としていくはずが ... 逆に、人生楽、とか、癖のない自己、とか、坐禅しながらそういうものを求めることになっちゃう、って感じですか?」
師匠「ほう。お前さんにしては理解が早いな。まぁ、そんなところじゃな。そう すると、残念ながら坐禅にならんのよ。じゃから、坐るときに限っては、日常生活のこととか、悩みとか、希望とか、救いとか ... そういうのをいったん全部置いて おいて、完全に動機ゼロ、白紙で臨むこと。これがまず第一の注意点じゃ。大前提な。これはとりあえず、坐っておる時間だけでいい。」
カエル「はい。ケロ。それで、あの ... 人間のおぼーさんがやっている、あの、 カッコいい坐り方を ... 」
師匠「まあ、まあ、そう急くでない。まず、坐る前に、あの ... 人間は何と呼んでいたかいの ... ああ、ざぶとん、そして、くっしょんってやつを用意せねばな。」
カエル「ああ、そうなんですね〜。」
師匠「ねっと通販で買えるぞい。最近はカエル界も便利になったの〜。ほれ、 あの、Kerozon とか、ゲコ天しょっぴんぐ、とか。ああいうのあるじゃろ。ぽちっとな。物についてはあんまりこだわらんでもいいよ。値段の高いもんじゃなくてもいいし。脚と尻がちゃんと収まるサイズであれば、いい。極端に小さかったり大きかったりはえぬじーじゃ。ざぶとんの方は、重ねて何枚か敷いてもだいじょーぶ。」
カエル「(カエルって、尻ってあったっけ?そもそも、くっしょんに坐れるのかなぁ ... ?)」
師匠「次に、場所じゃがな。初心のうちは特に、なるべく気を散らすもんが少ない環境を選ぶのが良いぞ。静かで、整頓されていて、清潔で、気分が引き締まるような場所を選んでな。まぁ、できれば着るもんとかも、あまりだらっとした感じじゃないものの方が良い。さっきも言うたが、日常のことを外に置いて、いざ、と入っていく。... っていうような雰囲気になる、ちょっと日常とは隔絶した特別な空間・環境の方がべたーよ。道場なんかで定期的に、みんなで坐る機会がある場合は、これベスト。でも、まぁ完璧を求める必要はない。りびんぐるーむ、とかでも良いよ。ワシは、普通の和室で毎日坐っとるがな ... あと、さっきも言った、みんなで坐る、っていうのがすごく良い。」
師匠「ああ、あと、さっきのに関連することじゃが、視界に物がなるべく入らん方がいい。気が散るからな。壁や障子なんかに向かって坐るのが良いな。」
カエル「へぇ〜、そうなんスね(うちも和室があるけど、散らかってるから片付けようっと)。」
師匠「それと、通常、気分がシャキッとせんような状況・体調のときは坐らん方が いいよ。食後すぐとか(特に、腹一杯飲み食いしたあと)、極端に眠いときとか、酒飲んでからとか、な。そういう場合は、腹がある程度空っぽになってから、眠気が少しでも飛んでから(仮眠を取ってから)、アルコールが抜けてから、坐る方が良い。だからと言って、一日に食後しか坐る時間がなければ、そのときに坐るのをおすすめするし、軽い眠気だったら、真剣に坐る中で醒めてくることもある。けーすばいけーすじゃが ... 。要は坐禅も、本当に真剣にやるのであれば、坐ることに向けて、普段から体調とか環境をベストに近づけるよう整えておくのが、けっこう大切なんじゃ。心得ろよ。」
師匠「まとめると、日常となるべく切り離された環境で、シャキッとした気分で、ざぶとんにのっけたのくっしょんの上に坐る、じゃ。うつらうつら、ぼーっと坐っとったら、電車で居眠りするのと変わらないから、な。OK?」
カエル「いろいろと心得ることがあるんですねぇ〜 ...。」