透明人間
『透明人間』2020年:アメリカ、オーストラリア
監督:リー・ワネル
ジャンル:ホラー
こちらも前回に引き続きU-NEXTで視聴。今日は何見よう?なんて考えながら、洋画→特集されているものの中に『ブラムハウス特集』を見つけて未視聴だった本作に決定。
透明人間というと1933年に公開された同名の古典ホラーのイメージが強い。
薬品によって透明な体を手に入れた男が凶器に憑りつかれ、人々を手にかけてしまう。目には見えないが、目の前にいるかもしれないという恐怖を楽しむ作品だ。
視聴後に知ったのだが、2020年版の本作は1933年版を現代風にリブートしたものなんだとか。
本作では透明になるための技術を開発するのは科学者ではあるものの、これまでの透明人間モノとは違い薬品による肉体自体の透明化ではなく、某ステルスゲームよろしく光学迷彩スーツを着用することによる透明化が採用されている。これは新鮮だ。
これまでの透明人間モノでは薬品を服用するパターンが主だったので少なからずリスクを冒す。透明になることを望んでいない人間が透明になってしまうパターンや「インビジブル」のように望んで透明になったものの元の肉体に戻れなくなってしまうパターンもあった。自身が望まぬ肉体になってしまったことや他様々な要因が重なり、少しづつ『人間性』まで透明化するように消えてしまうのが王道パターンだ。
しかしながら、透明化の方法だけでなく本作の透明人間は『人間性』の部分でも他の作品とは一線を画している。
光学迷彩スーツなのだから、当然着脱可能なので元の肉体の戻れないジレンマや透明人間特有の『悩み』みたいなものがそもそも存在しないのだ。
そこで本作の透明人間は人間性が消えるのではなく、元々の人間性が歪みまくっている人物が透明人間化するのだ。
あまり言うとネタバレになってしまうので詳しいことは避けるが、現代風の透明人間を製作するにあたって、非常に整合性のとれた矛盾の少ない設定だと感心した。
透明人間以外の登場人物たちも主人公含めみんなキャラクターが立っており人間ドラマとしても面白い。
ホラー要素は意外と少なく、復讐劇や愛憎劇に近いと感じた。
こんなに綺麗にまとまった作品を制作してくれるブラムハウス、今後も益々目が離せない!!!