【京都の駒札⑭】梨木(なしのき)神社
当社は、明治十八年(一八八五)に創建された旧別格官幣社で、明治維新の功労者三條実萬公・実美公父子を祀り、三條家の旧邸が、梨木町にあったことにちなんで名付けられた。
実萬公は、文化九年(一八一二)以来四十七年間、光格、仁孝、孝明の三代の天皇に仕え、皇室の中興に尽くしたため、幕府と対立し、その圧迫により一乗寺に幽居したが、翌年の安政六年(一八五九)に逝去し、「忠成公」の諡号を賜った。実美公は、幕末期に尊皇攘夷運動の先頭に立ち、明治維新後は太政大臣に任ぜられたが、明治二十四年(一八九一)に逝去し、正一位を贈られ、大正四年(一九一五)に父を祀る当社に合祀された。
旧茶室は、京都御所春興殿(賢所)の神饌殿を改装したもので、境内手水舎の井戸「染井」の水は京の三名水の一つとして有名である。
また、当社は萩の名所として知られ、毎年九月の中旬から下旬に催される「萩まつり」の頃は、多くの参詣者でにぎわう。