過去の私の作品㉒

雨の中、静かに桜は咲き続けた。
私の前でひとひらの花びらが静かに落ちた時、私は声にならない声を絞り出しながら泣いた…。
失ったものの大きさに気づけたわけでも、失ったことへの後悔でもなく、ただただ感じるままに泣いた。
一瞬で大きな支えを失って、温かな毛布を剥ぎ取られたような悲しみの中にいることしかできなかった。
疲れ切って涙が乾き始めた頃、ふと目を上げると、雨の雫に濡れながら尚も静かに桜は咲いていたいた。


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