多様にまなざす 映画『エゴイスト』

初めてnoteを使ってみるので、駄文すみません。

映画公開されたときにどうして観なかったんだろう…と思ってしまうくらい、心鷲掴みにされてしまった。
単に『同性愛』を描いた作品だろうと通り過ぎていたけれど、そんな単純ではなかった。
『同性愛』をテーマにした作品は、どこか生々しさのないものが多くて、それならyoutubeのゲイtuberの動画を見ていた方が、それわかる〜と共感も多いかも。

①浩輔の視点

さて、『エゴイスト』は、実在した人物、高山真さんの自伝的小説ということもあるが、浩輔の視点がメインで進む。
浩輔は、少年時代、オカマだの罵られ、地方ゲイって生きづらいよなぁ…やってられんなぁ…と、田舎に別れを告げて、誰もが誰でもない東京に飛び出した。
そこで、大手の出版社勤務をしながら、ゲイ生活をむさぼっていたところに、龍太というイケメンが現れ、恋に落ちる。

まあ、そんな流れ。

ひとつは、すごく端的に、運命的な出会い、というゲイ業界にありがちなパターンで、浩輔が恋に落ちたということ。
これは、有名なマッチングアプリで出会うよりも、運命感は跳ね上がる。
たぶんだけど、適当な体の関係なんてどんだけでもあったと思うけど、当たり!!この人だ!!という感じが浩輔にはあったんだと思う。

2つ目は、浩輔がお金をあげたり、ものをあげたりするという、愛の表現方法。
昔風に言うなら援助交際、パパ活あたりとやっていることは近い。
手離したくないという気持ちがゆえ、モノカネをちらつかせた、とも考えられなくないが、どちらかというと、好きな人を愛でるような気持ちとか、好きな人が困ってることを純粋に助ける方法としてシンプルに選んでいるといった方が正しそう。
たぶん、相手がお金持ってたなら、それはそれで別の恋の仕方があっただろうし。
シンプルに好き、お金に困ってるならお金出すわ、という、もう、この時点で家族的な思いも感じる。

3つ目。
中盤から終盤にかけて、今度は龍太のお母さんへの愛に変わる。
これもまたお金という形で愛を示すあたり、もう、どこまでも失われた家族愛を埋めようとしている、…ような気もするが、個人的にはもう龍太とは擬似結婚のようなもので、純粋に愛した人の家族なら助けるでしょ、普通、何をしたらいいか?うーん、お金かな、という。
これまた、お金がある家族なら違った展開になっていたと思う。

ゲイを扱う映画の生々しさを感じたのは、たぶん、この、不器用な、どこかで恋愛の規範的なモデルというか、結婚の規範的なモデルに、なんとか倣って相手に尽くそうとしている、初々しさにあるのかもしれない。

ゲイとはいえ、世の中にどれだけでも溢れる恋愛言説(それは往々にして異性愛者の所有物でもあるが)を一度は夢を見る。
片思いが突然恋に変わり、愛に変わり、結婚して、子どもを授かって…
そんなストーリーに否が応でも影響される。

でも、偽装結婚しない限りは、よほど難しいことにぶち当たって砕け散る。

たくさんのゲイが刹那的な体の関係を繰り返したり、なんとか付き合ってみたものの、そこから、じゃあ次の展開は?となった時に行き詰まって、別れてしまう、という経験はあったりするのではないだろうか。
勿論、うまく行って何年も付き合っているカップルもいるが。

浩輔は、どこかで、やっと恋愛至上主義の王道コースに当てはめて、やっと巡り合った龍太を、ナチュラルに愛そうとしたのかもしれない。

アクティビストでもなんでもないけれど、じゃあ、これが例えば、同性婚がオッケーな世の中なら?
普通に結婚して、龍太を扶養に入れたりできたりしてたら?
血縁のない人が、病院で簡単に面会出来ないこともまだあったりする中、映画ではすんなりと、身の回りの世話をしている者、で通ったが…
義母に値するポジションでない、でも義母みたいな存在?

まあ、もし同性婚ができるパラレルワールドだったとしたら、そもそも心を動かす映画にはならなかっただろうけど。

さて、この浩輔という人間に、自分を投影できるゲイって多いのかな?
私は少なくとも、できる部分はある。
ここまでリッチな生活はしていないものの、好きな子にはお金使いたくなるのもわからんでもない。
年下のかわいい子なら尚更。
月10万渡すのはしんどいけど、でも、たぶん、龍太の様子を見ていると、お互い出会って、『未来が変わりそう』という予感を共有できて、売り専をやめて生活してこう、て方向を変えれてるのとか、次の展開に移っていっていく、人生の楽しさ、ワクワク感への投資と思えば、悪くないし、浩輔も純粋に恋愛のパワーに舞い上がれたんだろうな、て。

残念ながら龍太は死んでしまったわけだが、こんな大恋愛できただけで、人生の宝物レベルだ。

そこまでありつけるゲイも多くはないかもだし、めいいっぱい愛せてよかったよ。
愛が何なのかわからない?と浩輔は言ったけど、ぶっちゃけわからない。
それくらい、同性愛者を強力につなぎ止める糊のような外的な拘束力ってあまり無い。
まあ、もう異性愛者ですら離婚どれだけでもしているし、でも、まだまだマジョリティは結婚、子ども、だから、マイノリティとして世の中からこぼれ落ちたような身としては、マジョリティを1回でもいいから味わってみたかった、とどこかで感じてしまうのかも…

だから、浩輔×龍太の愛に、夢を見させてもらえる、もしかしたら、そんな愛もあるのかもしれない、と…

エゴか愛かはわからんが、浩輔は幸せ者だったんだろうな。

…………

という、初めての投稿でした。笑
すみません、くだらなくて。笑

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