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【エッセイ】空気を読む脳(中野信子)

思春期
思春期:子供から大人への移行期間
 この言葉はよく耳にするが、その正体はどこかぼんやりとしている。「思春期だから」で済まされることが多々あるが、正体が分かれば、アプローチの仕方も変わってくるのかもしれない。

 人間は、遠くの時間の考える前頭葉がこの時期に成長する。個人差はあるが、7~9歳ごろから成長が始まり、11~13歳ごろに一気に分厚くなり、その後も少しずつ成長を続ける。この時期に悪い条件が重なると、先を考えるが困難になる。

 思春期には、悪い人がとても魅力的に映るものである。これは前頭葉の成長が影響している。人間は、無意識に子孫を残そうとする性質がある。悪い人(リスクを冒してでも新しいことをしようとする人)は、遺伝子を拡散する可能性が高いため、無意識に魅力的に映るのである。
 ギャンブルについても、最終的には、お店が儲かるという仕組みに考えがいきつくことなく、目の前の金が増えるかもしれないという期待に魅せられて、行動してしてしまうということである。

 非常に少ない情報ではあるが、このような事実から、アプローチを考えてみる。時間軸で物事を考える力が成熟していないのに、「どうなるか考えろ」と指摘することは、的外れである。大人が30年後の想像させたいのに、思春期の子供たちが想像するのは、3年後の姿である。
 できることとすれば、30年後の姿をみせ、そこに到達するまでのプロセスを考えさせることである。さらに、見せるものも映像、写真などの誰が見ても感じ方に偏りの出ないものが良い。

 子供は小さな大人ではないことを大人側が自覚し、無理に引っ張り上げることより、支援することに徹することが大切なのかもしれない。                                                                     


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