165.その分岐にて④完
途中、外国人のご夫婦の近くを歩いていた。
小休憩スポットも一緒だった。お互い、話しかけはしないけど、なんとなく気があっている感じがした。彼らは森の空気を深く吸い、日本の山道を楽しんでいた。
「私達もあんなふうにいつまでも仲良く登山したいな」
そんなことを考えながら、私は下山していった。
時折、彼のことが無性に心配になった。
汗だくで汗冷えしていないかな?
熱中症になっていないかな?
飲み物、ちゃんと飲めてるかな?
心拍数上がり過ぎていないかな?
休憩とれておるかな?
心配で心配でしょうがなくなった。子どもじゃないし、彼は登山の先輩だから心配しなくてもいいのにね。溺愛してるので少しでも離れるとこうなってしまう。先を急ごう。なんとしても先についていなくっちゃ。なぜかそんなことを考えて、前へ前へと足が向いた。
思っていた以上に下山ペースは早く、登山口まであと少しというところまで下りてきた。まわりの景色など見ずに必死な形相で下ると「やっぱり、彼と一緒に登山したい」「Solo活動、つまんないな」など思ってしまい、寂しさが募った。山の中で体を動かすことそのものは楽しいが、登山の楽しみ方はそれだけではないように思った。初心者ながら...。
私が下山している6号路の登山口(出口)が見えた。嬉しくて駆け出したくなった。だがしかし、ここで我慢。走るほどの体力はないし、緊張の糸が解けたので転ぶ危険性が高い。今までのペースを保ちつつ、彼が下りているまっすぐコースの登山口(出口)へと急いだ。
もしかして、私のほうが後に到着したりして...。でも、まだ到着のお知らせLINEは届いていないし...。とにかく、先に到着してゴールを出迎えてあげたかった。
ほどなくして、まっすぐコースの登山口が見えてきた。その瞬間、彼の姿も見えた。
やったぁ、奇跡的。彼と同時ゴールだなんて。びっくり!
別々のコースを辿っていても、こうやってまた出逢える私たち。やっぱり、何があってもなくても、離れられない2人なのね。うふふ、私たちって出逢うべくして出逢ったのよ、きっと。
と、いうことで、その分岐にて別れ別れになっても、また出逢える2人なのでした。ちゃんちゃん。www
帰り道、夕陽が輝いていました。
また一緒に登って下りようね。