11 紀伊守邸での動線図1(帚木)
📖 帚木
紀伊守邸を、源氏は方違え先として選びます。
最近遣水を引き入れて木陰で涼しい家と、左大臣邸の物たちが薦めます。
車を寝殿に直付けできることと、雨夜の品定めで当代の遊蕩児たちが推すまだ見ぬ魅力的な 中流の女 のいそうな家であること、の期待があります。
貴人の急な訪問で紀伊守邸はてんやわんやです。
寝殿東面の母屋の辺りを片付けて、急ごしらえの客間を作り、格子を上げ放し風通しをよくしています。
① 遣水のほとりで酒を振舞われる従者たち
② 西隣の女房の声を盗み聞く源氏
従者たちは遣水のほとりで酒を振舞われ、邸の者は接待準備に忙殺されている束の間、
客間に一人残されて、その間に源氏は西側の襖の向こうの若い女房達の声に聞き耳を立てます。
下らない噂話にすぐに興味を失う一方で、世間の人の無責任な噂話というものに怖れを抱きます。
準備が整い、盛んな接待を受けます。
③ 夜伽の催促
肴を持って来た紀伊守に、催馬楽に寄せて、夜伽の接待を催促します。
紀伊守は、空蝉が近くにいることを仄めかします。
夜更けて邸の者は下がり、簀子の従者達も酔って眠り込んでしまいました。
④ 北側に空蝉の声を聞き、侵入する
北側の襖の奥に子供の呼びかけに応える姉の声を聞き、皆が寝静まると侵入します。
掛け金がかかっていません。
小君が灯火を掻き立ててあります。
⑤ 空蝉を抱き上げて自室に拉致する
小柄な空蝉を抱き上げて自分の客間に戻り、強引に関係してしまいます。
朝になり、ただ一人事情を知ってしまった側付きの女房が迎えに来て、空蝉は去ります。
⑥ 南側の高欄でアンニュイな源氏
源氏は部屋を出て南側の外廊下の手すりにアンニュイに寄りかかっています。
西側の局の女房達は早々と格子を上げて、置かれた衝立越しに少しだけ見える源氏を覗いて声を潜めつつキャアキャア騒いでいます。
空蝉に心を奪われた源氏は、帰邸した後も空蝉の弟の小君を手なずけて、度々文を遣りますが、空蝉からの返事はありません。
方違えの口実のできる日を待って、急に思いついたふりをして宮中からの帰途紀伊守邸に行きます。
困り果てた空蝉は仮病を使って東の対の女房の局に隠れます。
⑦ 源氏君の為に必死で小君は姉を見つけ出す
空蝉は、やっと姉を見つけた小君を叱り、嘆きに沈みます。
眞斗通つぐ美