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ガンダムジークアクス、恐ろしい子・・・!!!&監督の鶴巻和哉とは!?
ってなわけでアニメファン(てかガンヲタ)騒然となっている機動戦士ガンダムジークアクス(以下GQ)beginning観てきた。
ちなみに当方ガンヲタと言えるほどでは全くなく、浅い感想しか書いてませんのでご了承を。
と言いつつGQ監督の鶴巻和哉はフリクリ時代からのファンではありますが。
するなら鶴巻和哉からめてのマニアックな話をば。
いきなりネタバレ全開で行くのでまだ観てない人はここらでオサラバして下さい。
あるいは鶴巻監督について語ってる③だけ見て下さい。
以下ネタバレ。
①beginning編
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いやー、驚いた。まさかの仮想戦記モノだとは。
初っ端から
「あれ?これって確かファーストガンダムだよな。あれ?」
てなナレーション、画面から始まる。実際、音楽もザクの侵入も、何なら鳥が飛び立つ描写すらオマージュしてたそうな(変態か)。
しかもちゃんと安彦良和の絵柄で描かれ、あの予告の絵と違いすぎるからはじめの数シーンで「映画間違えた?」と疑った客もいたとか。
僕は僕で鑑賞時「なぜ劇場でファーストガンダムが?」と疑いつつ鑑賞しつつ、でも1番違うのは、シャアが侵入してる所。
そしてシャアがガンダムに乗っとる!
そしてそこで理解
「なるほど、これは完全にパラレルワールドものなんだな!」と。
Beginnigって、一年戦争からそもそも語り直すからなんや!ってなもんで。
ガンヲタからすりゃファーストガンダムと言えばもはや聖書というか、正史とか言われるくらい神格化されてるストーリーだから、そこにメスを入れるとは思わなかった。
これはガチヲタからすると、「シャアがガンダムに乗るとはゆるせん!」となる人もいるかもしれないけど、SF的には非常に面白い試みだと思った。
そもそも、今回話題のカラー×サンライズ、スタジオカラーと言えば勿論エヴァンゲリオンなんだけど、カラーの前身のガイナックスはSFアニメ作品を多く手掛けていた。
トップをねらえ!やらふしぎの海のナディア、勿論エヴァンゲリオン(どれも庵野監督作品である)もSFマニアが唸る作品だったため、ガンダムを手掛けるとなってもそうした趣向を凝らすのは流石と言える。
しかもシャアがガンダムに乗るなんてのはあり得なさすぎる展開のため、それが劇場で、しかも情報がふせられた状態でかかっているのでやはり度肝を抜かれたファンも多数いるそうな。
そして何より今回、一年戦争にジオンが勝利する。ジオンが勝利する世界線での新しいガンダムシリーズ。
往年のファンであればあるほど痺れる展開だろう。
しかもどうやら、ファーストガンダムでは死んだキャラが生き残ってたりするらしく、その差異もファンであればあるほど楽しめる構造。
実際、シャリア・ブルというキャラは元は戦死したそうだけどGQの世界線では死んでおらず、beginning から続投している。
しかもファーストガンダム時代のキャラがGQにも登場するかもしれない、となるとワクワクが止まらないのではなかろうか。
こうしたマニアへの憎い心配りができるのがカラーの強みだと言える。
一方、新規にはニュータイプやらサイコミュやら聞き慣れない用語が多用され、親切な説明も特にないものの、一応理解はできる構成になっている。
そして終盤、なんとシャアはゼクノヴァなる現象でガンダムと共に消失してしまう。
このゼクノヴァという現象がどういうものか、ファーストガンダムにもないGQならではの現象なので、詳細はテレビシリーズを待つしかないだろう。
シャアが消え、一年戦争がジオンの勝利により終活し、いよいよ本編となるジークアクス編がスタートする。
②GQuuuuuux編
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ここでGQのタイトルが出る事で、明確な2部構成であると理解できる。
この映画が2部構成であるなんて観る前に誰が想像しえたであろうか。
GQ編になるとキャラの絵柄はガラッと変わり、いつもの鶴巻絵というか予告通りのGQのイラストレーターである竹の絵柄に変わる。
ちなみに脚本もbeginning編では庵野秀明が担当しており、むしろ庵野テイストが強いと言える。
ここら辺、やや不自然な気もするが、鶴巻監督いわく、「安彦良和の絵も初期は手塚治虫のテイストが感じられ、竹のイラストにも手塚テイストが感じられる。安彦の絵に縛られる必要はないし、そこまで違和感ないと思う」とインタビューで語っており、なるほど理解できなくもない。
ちなみに、「こんなのガンダムじゃない!」と一部ファンの拒否反応を引き起こしたジークアクスのデザイン、それもそのはず、手掛けたのはエヴァの主・メカデザインである山下いくとなのだから。
いわばエヴァ陣営が作り上げたガンダムがGQというわけだ。
そして鶴巻ファンには懐かしのフリクリ的な構図、描写のオンパレード。
展開含めいきなりある種軽薄な現代アニメ調になるのでそこら辺は好みが分かれるか。
ただ、現代アニメ的な展開になるも、軍警なるオリジナルの組織がいること、ストーリーにどうやら移民問題も関わっており、ジオンのシャリア・ブルが続投し本編にガッツリ関わっていること、もあり、重厚なストーリーを期待する層にも目配せできていると思う。
さらに気になるのはあの消えたはずのガンダムが再登場することだ。
そこにはシャアの姿はなく、パイロットは若者であるシュウジ・イトウ。
このシュウジ・イトウが何者なのか、なぜ彼がガンダムに乗っているのか、そしてシャアはどうなったのか。
こういった疑問の答えは映画内にはなく、テレビ放送を待つしかない。
そしてやはり白眉はモビルスーツ戦だろう。
CGと手描きを織り交ぜた戦闘シーンは圧巻で、臨場感溢れて素晴らしい。
ストーリーが今後どうなるかはわからないけど、この戦闘シーンを観るためだけでもGQは観る価値があるんじゃないかと思えるほど。
GQuuuuuux編は、主人公がニャアンとシュウジと出会い、カネバン有限公司と組んでクランバトルを行い、初戦を勝利することで終わる。
謎を散りばめ、客にはとりあえずのカタルシスを味わわせて終わるという、ある意味非常にオーソドックスな「第一話」だった。
今後が楽しみになる、理想的な映画だったと思う。
③鶴巻和哉ってだれ?
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ここで少し監督の鶴巻和哉について語ろうと思う。
テレビシリーズからエヴァンゲリオンの副監督を務め、ファンには庵野秀明の懐刀として馴染みある存在なのだけど、知ってる人は少ないんじゃないだろうか。
ただ、「チェンソーマン」の藤本タツキや米津玄師もその影響を公言してるので、今後注目されていくんじゃないかと思ってる。
③ー1 初監督作品「フリクリ」
彼の初監督作品の全6話のOVAシリーズである「フリクリ」は、日本では知名度はおそろしく低く、第一話の破茶滅茶かつ意味不明「に見える」(しかもスベリ気味な)展開で切った人もいるかもというくらいマニアックなアニメなんだけど
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それでいて全編にthe pillowsの楽曲が使われ、the pillowsのプロモーションビデオとしては破格に優秀であり
話数が進むにつれ登場人物のバックボーンや目的が描かれ、実はしっかりストーリーが練られているにも関わらずバカをやってるようにしか見えないという、非常にチャレンジング(?)な作品となっている。
(それでもジュブナイルストーリーとして甘酸っぱく秀作なんだけども)
ただ、フリクリがこういう破茶滅茶アニメになったのは実はもっともらしい理由がある。
そもそも当初は正統派な路線で描こうとしていたものの、監督が主題歌を発注したthe pillowsはしっとりしたオーダーとは異なりとても変テコでユニークなロックサウンドの曲”Ride on shooting star”を提示したのがはじまり。
今でこそアーティストがアニメの主題歌を手掛けることは当たり前なんだけど、2000年代初頭はまだ
「アニメはキモいヲタクが観るモノ」
と差別が強かった時代。
the pillowsも当時そこまで売れてなかったものの、アニメにも疎かったボーカル山中さわおはアニメの絶大な宣伝効果とかも考えず、生意気にもオーダーと異なる(むしろ真逆の)曲を監督に提示し「これを気に入らなきゃ降りる」ってなくらいの気持ちだったとか。
ちなみにフリクリを手掛けたことで、山中さわおの銀行の口座にそれまで見た事なかったくらいの巨額の印税が振り込まれることになるのだけど、当時の山中さわおには知るよしもなかったことだ。
オーダーとは違うことで悩んだものの、この曲の持つエネルギーに感化された鶴巻監督は、
「アニメをこの主題歌のテイストに合わせよう」
とし、なんとアニメ自体の方向性を大胆に変え、今の破茶滅茶スタイルになったのだから驚きだ。
ただ面白いのが、鶴巻監督としては曲のテイストに合わせたつもりが、第一話のあまりにもメチャクチャな展開を見た山中さわおは監督に
「これどういう事ですか?大丈夫なの?」と不安になり連絡したそうで面白い。
さらに書くと、当時まだカラーの前身のガイナックスに所属していた鶴巻は、新人のアニメーターのテイストがエヴァとは異なっており、彼らのテイストが存分に発揮でき、自由に楽しく活躍できる場としてフリクリを作った、という話もある。
(事実、彼ら新人もまた後にガイナックスから独立し、トリガーというアニメスタジオを作った)
あの破茶滅茶アニメが実は監督のこだわりやわがままで作ったわけではなく、the pillowsの無茶振りと新人アニメーターへの心配りからそうなった、というのは非常に興味深くはある。
しかもその破茶滅茶路線がアメリカで大ウケし、アメリカのヲタクで知らない人はいないほどメジャーなアニメとなった。
the pillowsはその人気を受け、アメリカ各地で2000人規模のライブツアーができたのだから(今でもアメリカのアニヲタが1番好きなバンドなんだとか)、人生何が起こるかわからない。
とまぁ、鶴巻監督の紹介かthe pillowsの紹介かわからなくなったものの、鶴巻監督の人柄についてはよくわかるエピソードだと思う。
フリクリも実はSF的には捻った構造を持っており、日常系に見せかけてかなり凝った設定があるのだけど、アニメファンにはあまり認知されなかったように思う。
むしろ監督のSF趣味は次作で大いに華開いたと言えよう。
③ー2 トップをねらえ2!
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こちら、庵野監督の大ヒットOVAの続編。奇しくもフリクリと同じく全6話。だが、正直この作品もあまりヒットしなかった。
鶴巻監督の特徴として、SF設定は凝ってて本格的で面白いものの、イマイチメジャーにはなれない、というものがある。
ノリが独特過ぎる、GQにもそれが出てるけど。
ずっと庵野監督の陰に隠れてメジャーにはなれなかったことにも理由がある。
この作品にしても、少し百合めいた友情が描かれていて、かといって百合でもなく、途中までは観客がカタルシスを得にくい作品だと言えるかもしれない。
ただ、SF作品としては本物で、途中から反転する宇宙怪獣の定義、壮大なスケールで展開されるストーリー、そして最後の最後にあるどんでん返しは前作から観ていたファンには感無量となる、素晴らしい続編となっている。
惜しいのは、第一話からしてシリーズ前作とはテイストが違いすぎて往年のファンからはおそらく「切られた」こと
かといってフリクリと同じくノリが独特過ぎて新しいファンも取り込めなかったことにある。
事実僕も、フリクリのファンだから観てたけど、3話までは我慢して観ていた。しかし4話から話が動き一気に面白くなったものの、ヒットには到底及ばなかった不遇の作品と言える。
③ー3 龍の歯医者
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目次には書いたもののすみません、ほぼ覚えてないです(どーん)。
舞城王太郎が原作で、鶴巻監督とタッグを組むってことで期待してたけど、そうでもなかった印象。
それなりに面白くはあった気がする。
やっぱ鶴巻監督はSFなんですよ。この作品はファンタジーだから、イマイチ本領発揮できなかった感じ?
NHKと組んだけどやっぱり大してヒットしなかったし。
続編匂わせてたけど無かったしねー。
ほんとなかなかヒット作作れないんですよね。
④まとめ:GQへの期待と不安や予想
![](https://assets.st-note.com/img/1737469857-FNKRX0Q7li21WwUdYbC3jaSm.jpg?width=1200)
さてさて、初週の3日間で動員1位、興収約6億円と大ヒットスタートを切ったGQ。
オマケに近所の映画館では初日にはダンボール一箱まるまるあったプラモデルやグッズが完売。
順調に行けば20億、下手すりゃ30億も圏内にあると思われるけど、さて不安要素があるとすればどうだろうか。
まず、今回の盛り上がりは、間違いなくファースト改変が主であるということ。
今後のGQのみのストーリー展開だけで客を惹きつけ続けられるかまではやはり未知数だろう。
ただ、上にも書いたけど、ファーストと年代が近い事で、ファーストの頃のキャラが出てくる楽しみはある。アムロとか出てくるかもしれない。
オマケに鶴巻監督は既存の監督作品の通りかなりSF的に趣向を凝らしてくる監督だということ。
おそらくSFファンが悶えるようなギミックをさらにいくつか用意しているに違いない。
謎にしても
・シャロンの薔薇とは?
・シュウジの出自やガンダムをどこで手に入れたのか?
・シャアはどうなったのか?
・ゼクノヴァって何?
・ニャアンやカネバン有限公司のバックボーン
等現時点で色々ある。
オマケにマチュの母親も政府関係者っぽいし、これからストーリーがどう動くか非常に楽しみだ。
そもそも、シュウジ役の土屋神葉が「展開が全く予測できない」と語っているため、その予測不能なストーリーも見逃せないだろう。
ただ、ストーリーについては一つの予測がある。
それは終わり方だ。
実はフリクリにしろトップをねらえ2!にしろ、ハッピーエンドでは終わらず、バッドエンドではないものの少しビターな終わり方をする。
ので、今作もハッピーエンドでは終わらず、ビタースイートな終わり方なんじゃないかな、と思っている。
ちなみに、今作の脚本には榎戸洋司もちゃんと参加している。彼は僕の好きなフリクリ、トップ2両作品に参加しており、榎戸洋司×鶴巻和哉の久々のSFタッグ作品というわけだ。
いやもう期待しかないかもしれない!←
テレビシリーズはよ!
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